出版社内容情報
持ち前の明るさと好奇心で、武士になる希望を抱いたシュンスケは、「宰相」を夢見て長州の田舎から世界へと飛び出す。幕末、攘夷か開国かで揺れた青春の日々。遠くハルビンへと向かう元老は懐かしく回想する・・・。
内容説明
武士に憧れ、宰相を夢見た少年は、いかにして大志を叶えたのか。動乱の時代を駆け抜けた日本最初の首相・伊藤博文の青春。ミステリー界の気鋭が挑む初の歴史小説。
著者等紹介
門井慶喜[カドイヨシノブ]
1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。08年『人形の部屋』、09年『パラドックス実践』で日本推理作家協会賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
60
利助、俊輔と呼ばれた頃の伊藤博文。長州を描いた作品は、やっぱり『世に棲む日日』の印象が強くて、どうしてもそちらの名シーンが思い浮かんでしまいました。伊藤を主人公にすることで、明るい読み物に仕上がったなぁと思います。ただ、ずいぶん中途半端な所で話しが終わっていて残念。この後の飛躍を読みたかったです。2018/08/27
とん大西
52
ようやく読了しました。初代内閣総理大臣・伊藤博文の青春記。そうか、こういう人やったんか。同じ長州でも桂小五郎や高杉晋作の影に隠れて幕末の頃の伊藤博文は小賢しい使いっぱしり。その小賢しさが英国留学で世界を知った伊藤博文の野心を討幕に駆り立てていく。「日本はどこまでも日本人の日本でなければならないんじゃ。わしたちは全国一如にならねばならん」-下級武士の身分にも関わらず諸外国から日本を守ろうとする危機意識と義侠心。大久保利通の志にも通じるなかなかの男前ぶりです。ただ、幕末ばかりで明治の話がなかったのは少し残念。2017/10/19
ぴろち
43
幕末ものにはまったことがあったけど、その時は全く伊藤博文に興味がなかったなー。お札にまでなった人なのによく知らなかった。でもやっぱり幕末はおもしろい。2016/12/06
なゆ
37
シュンスケ、伊藤俊輔…そう、あの伊藤博文の若かりし頃の幕末青春もの。貧しい百姓の家に生まれながら、運にも人にも恵まれての最終的には大出世だったとは。ここでは攘夷に揺れる長州藩の内部でゴタゴタするなか、20代前半までのシュンスケがいきいきと描かれる。人を見る目に長け人たらしでもありながら、縁の下の力持ち的存在だったがために、あまり幕末ものでは存在感なかったのだろうか。さあ倒幕へ、という所でシュンスケ篇は終わってしまったので、ちょっと残念。そこから維新の活躍もこのトーンで読みたかった。2014/02/02
onasu
30
俊輔(シュンスケ)、明治の宰相、後の伊藤博文の幕末、長州藩での活躍。書名から推測される通り軽快な読みものですが、司馬先生曰くの維新第二世代をメインに据えたのものは読んだことがなく、新鮮でした。 誰もが名を知る、旧千円札の人ですが、出自から倒幕運動への加担まで、一連としては、思いのほか知らなかった。と言うか、断片的に知っている事柄の繋がりが分かった。 幕末、長州藩の政情は目まぐるしい。それを何とは無しにでも、捉えられたのは収穫。 農民の子から総理大臣とは、秀吉以来とも言えますね。意外と好著でした。2013/05/31