鳴いて血を吐く

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  • サイズ B6判/ページ数 325p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041102640
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

最低の悪女をめぐる傑作ミステリ

離婚して経済的に困窮しているギタリスト・多聞のもとに、人気歌手・実菓子のロングインタビューの仕事が舞い込んだ。多聞と実菓子は幼いころ同じ家で育ち、しかも多聞の亡父と亡兄はともに実菓子の夫であった――。

内容説明

人気歌手・実菓子への取材で明らかになる旧家の秘密、過去の事件の真相―新鋭による傑作ミステリ。

著者等紹介

遠田潤子[トオダジュンコ]
1966年大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒業。2009年、数奇な運命に翻弄される兄妹の悲恋を描いた『月桃夜』で第21回「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

散文の詞

164
一人称で書かれている部分がどこまでの事実を伝えているだろうと思いながら読んだら、次々に明かされる新事実に翻弄されっ放しだった。 どういう感じにまとめるのかと思っていたら、多少こじつけらしい点も有ったけど、最後には、伏線らしきものが全て回収されていて、少しびっくりした。 どれほどの謎が隠れているのかと思ったら、昔の村社会ではありそうな話で、その点はがっかりだった。 最後がちょっと違う気がしたけど、これが真実なのかもしれない。 2021/08/09

🐾Yoko Omoto🐾

157
遠田作品初読み。因縁の呪縛が根深く影を落とす、旧態依然とした田舎の旧家。迦陵頻伽に喩えられるほどの美声に類い稀な美しさを持つ少女と、彼女に特別な感情を抱き続けた兄弟を中心に、現在と過去の余りにも愚かで哀しい人間模様が描かれる。幼少期に特異過ぎる大人の事情を理不尽に刷り込まれ、自己犠牲を余儀なくされながら生きてきたが故の諦念や憤り。そこから生まれた嘘、誤解。それらが隠された驚きの真実とともに顕になっていく物語は息苦しいほどに濃密で痛ましい。誰の心も血を吐くほどに鳴いている、"激情"の一言に尽きる作品だった。2017/08/12

nobby

153
…(無言)…(沈黙)…読了した今の自分は空っぽだ…いや何も考えたくないのか…互いに冷たく妖しくぶつかりあう男女、その舞台はある閉鎖的な村。そこに蔓延るのは藤屋と斧屋、片や廃れつつ、片や滅びた両旧家をめぐる愛憎に辟易する…もう序盤から外道・淫乱・邪魔・おもちゃ・種無しなど嫌悪感しかない言葉の羅列、重なるエピソードも虐待に腹上死にと容赦ないまま、トドメは破滅に絶やせとは…少女は鳴いて血を吐く迦陵頻伽(カラヴィンカ)の如く空を舞い美声で唄う、男達は泣いて悦に浸る狂人のまま溺れ堕ちる…僕はそれを拒んで反吐を吐く…2020/07/25

utinopoti27

131
本作は、山間部の鄙びた村で起きた、旧家同士の怨嗟を背景にしたストーリー。『藤屋』の二男坊多門と、没落した『斧屋』の末裔実菓子が中心となって、実にドロドロとした愛憎劇が語られていきます。冷たく妖艶なまでに美しいヒロイン実菓子は、鬼女か菩薩か。複雑に絡み合う血脈ゆえに起きる陰惨極まる悲劇の数々。とにかく女は怖い。無節操であけすけな女も、一見おとなしく普通に思える女も・・。「鳴いて血を吐く」不穏なタイトルもさることながら、遠田ワールドは、踏み込む者を異界に誘い込むような、中毒性を帯びた危険な香りに満ちています。2018/06/22

いつでも母さん

106
何故か再度書くことに・・朝はなんと打ったのだったか(汗)閉鎖的な土地柄では有るであろう『家』の名の元における力関係みたいのは、想像に難くない。が、この誰にも共感できずモヤモヤいや~な感じは重く不快でたまらない。でも止められない。ラスト3ページで驚くほど開放される。この作品は好みが別れるかと・・私は、この作家の別の作品も読んでみたい。タイトルと兄弟の名は好き!2015/06/05

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