出版社内容情報
世間を震撼させた無差別大量殺傷事件。事件後、犯人は自らに火をつけ、絶叫しながら死んでいった――。元同級生が辿り着いた、衝撃の真実とは。現代の“悪”を活写した、貫井ミステリの最高峰。
内容説明
自分が犯した「あの罪」が、無差別大量殺人事件を引き起こしたのだろうか。銀行員の安達は、世間を震撼させた事件の犯人が同級生だったことに気づいて絶句する。小学生の頃、小さな見栄から彼がいじめに遭うきっかけを作ってしまった。その後、普通の人生から道を踏み外した彼は、大量殺人犯となり、自らに火を点け、動機不明のまま死んでいった。罪悪感に苛まれる安達は、犯人の悪の芽がどこで生じたのかを調べ始め―。絶望の果てに、人間は何を見るのか。魂の叫びと祈りが胸に刺さる、長編ミステリの傑作!
著者等紹介
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補作となった『慟哭』でデビュー。2010年、『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
396
貫井 徳郎は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「風が吹けば桶屋が儲かる」的なイヤミスかと思いきや、「悪の芽」は、それほど肥大せず、善の芽となり昇華しました。途中までは快調に飛ばしたのですが、最後失速です。4月は本書で、読了です。 https://kadobun.jp/news/press-release/9hehihrsuz48.html2021/04/30
うっちー
275
悪の芽はどこにでもある。でも、無差別殺人は悪の悪。善の芽を育みましょう2021/03/16
ウッディ
273
無差別殺人を起こし、焼身自殺した犯人が、小学生時代に自分がいじめの原因を作った斎木均であることを知ったエリート銀行員の安達は自責の念に駆られ、仕事に行けなくなり、彼がなぜ事件を起こしたのかを調べ始める。子供の頃の意地悪な一言、差別意識、無責任なネットへの書き込みなど、それ自体は「悪」とは言えないような「悪の芽」は、やがて大きく育ち、大事件につながっていく。憎むべき対象を失った被害者遺族が、新たな悪の芽を育むことが無かったのが救いだった。「乱反射」に通じる貫井さんらしい物語は、読み応えがありました。2021/08/29
しんたろー
271
貫井さん新作は得意の「人心の闇を抉る社会派ミステリ」…イベントでの無差別殺人は犯人の焼身自殺で動機が判らず、犯人を虐めていた同級生や被害者家族を苦しめる…群像劇というには人数が少ないが、その分各々の葛藤を掘り下げていて、共感で苦しくなった。事件をスマホで撮影した大学生を絡める事でネット社会の功罪を考えさせられる構成も巧い。やや残念に感じたのは、もっと書き込んで欲しい部分が多いのと、犯人自身の実際の描写がないからかも知れない。とは言え、一気に引き込む序盤と「善の芽」で微かな希望を描いた終盤は流石の出来栄え!2021/06/24
ショースケ
256
無差別大量殺人を起こし自分も自殺。エリート行員の安達は犯人が小学校の同級生だったことを知り驚愕する。なぜなら、自分の意地の悪い言葉からいじめが始まり犯人は不登校となって転落したような人生を送っていたからだ。なぜ場所がアニコンだったのか、何に駆られてあんな酷いことをしでかしたのか、今となっては謎のままだ。安達は自責の念に駆られ心身ともにおかしくなっていき、家族を守るため、いや、自分ためにも犯人の人生を探してまわる。その動画を撮影した亀谷や被害者の家族なども絡まって悪の芽は暴かれていく。面白かった。2021/09/19
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