内容説明
家を出て役者になった元旗本次男坊の草二郎は「中村音次郎」の名で舞台にあがり、女形として評判をとっていた。ところがある日、兄の訃報が届く。実家に帰ると兄は暗殺されていたことがわかり、兄嫁から犯人捜しを懇願される。追い打ちをかけるように奢侈禁止令によって芝居小屋が打ち壊されてしまう。下手人捜しと芸能弾圧―。突然降りかかった「よんどころない」事態。草二郎はどう闘うのか。手に汗握る本格時代活劇!
著者等紹介
吉橋通夫[ヨシハシミチオ]
1944年、岡山県生まれ。『たんばたろう』で第2回毎日童話新人賞を受賞し作家デビュー。『京のかざぐるま』で第29回日本児童文学者協会賞、『なまくら』で第43回野間児童文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
55
旗本の次男坊・草二郎は中村音次郎として舞台の看板役者。ところが兄が何者かに斬られて死んでしまう、似たような辻斬りが起きているので辻斬りの仕業かもしれず役目柄暗殺かもしれず、とにかく病死と届けたものの兄嫁は草二郎に仇を取ってほしいと頼む。初めて読む作者だが文体に癖がなく 芝居、剣戟、料理、陰謀などがバランス良く描かれていて読みやすい。2020/10/25
Mc6ρ助
11
お気に入りさんの感想から。チャンバラ小説読みの爺さまは大満足だけど、惜しむらくは話の筋立て上続編が望めない。『「夢をあきらめることはござんせん。あきらめずに願い続けやしょう。月を隠す叢雲も、いつかは風に吹き払われるときが来るって言いやすから」「そうだね。またきっとお月さまが闇夜を明るく照らしてくれるね」おかみさんが少し元気な声をあげたのを機に、音次郎は軽く頭をさげて歩き出した。(p104)』これは天保の改革の奢侈禁止令、今は感染予防に補償無しの自粛要請、またきっとお月さまが闇夜を明るく照らしてくれるね。2021/01/19
まめの助
3
★★★☆☆旗本の兄が何者かに殺され、犯人を追う弟の話。色男で、情に厚くて、剣も強くて、料理も上手い主人公に目がハート。保身のための謀が横行する中で、まっすぐ生きてるはじっこの意気地を見る。ハラハラドキドキ、時代劇のような面白さだった。2022/10/02