出版社内容情報
一族の秘具<雲神様の箱>と共に山をおりたセイレンは、湖国の若王・雄日子の守り人となり大王への反逆の旅路についた。しかし一族の神の怒りが、セイレンや周囲の者達へ容赦なく襲い掛かり……
内容説明
一族の呪具“雲神様の箱”と共に山をおりた少女セイレンは、飛鳥の大王への叛逆を企てる雄日子の守り人となる。謎の多い雄日子に不満を抱きつつも、初めて出来た仲間や居場所、雄日子が巻き起こす変革の奔流に心が躍るのを止められない。しかし彼らを狙う刺客は飛鳥からだけではない。セイレンが里を追われる原因となった石媛の宝珠。それが雄日子に渡っていたと知った一族の神の怒りを買い、新たな追手が放たれるのだった。
著者等紹介
円堂豆子[エンドウマメコ]
第4回カクヨムWeb小説コンテスト・キャラクター文芸部門特別賞を受賞した『雲神様の箱』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大阪魂
41
シリーズ第2弾!やっぱ面白いー!雄日子ことのちの継体天皇が、騎馬軍団をもつ馬飼の荒籠を味方につけ、湖国から淀川、難波津への水運の要衝・樟葉を倭国から奪い取るまでのお話!そんな中、セイレンは夫とか嫉妬って言葉にトンチンカン解釈して周りを笑わせながら雄日子の動きに振り回されまくり!行軍中に敵の罠にはまって藍十と取り残され、逃げてるうちに土蜘蛛一族の地下の里に迷い込み…そこは土雲一族の源流で山魚様とか宝珠の真実が…同じ頃土雲の里では大地の神が人化して石媛を妻にしようと…ファンタジーと歴史の傑作、次も楽しみー!2025/03/28
よっち
35
一族の秘具と共に山を降り、湖国の若王・雄日子の守り人となり大王への反逆の旅路についたセイレン。一方、一族の怒りに気づいた神の怒りが思わぬ展開に繋がってゆく第二弾。念願の出会いを果たした雄日子と多数の馬を育てる牧の若長・荒籠。荒籠に見惚れてしまうセイレンと、怒れる大地の神から思ってもみなかった要求を突きつけられる石媛。事態が大きく動き出して戦が近づくのを実感する展開でしたけど、変化の兆しを見せ始めるセイレンの様子も気になりますが、セイレンと石媛の行動がそれぞれに影響を及ぼしている構図がなかなか面白いですね。2020/10/25
kou
34
まるで神話を読んでいるようだった。藍十の親戚の気の良いお兄ちゃん感が微笑ましい。やっと話が動き始めたと感じたので、早く続きが読みたい。2021/01/30
なつきネコ
25
そういえば継体天皇の小説というのはなかなか見ないのではないか。気づいた。しかし、今回で牧という物に初めて理解できた。そのための河内馬飼荒籠のキャラ付けもよく、新しい倭を求める新たな力を持った豪族というのが自然と見えてくる。淀川の水運への流れ。樟葉に拠点をおいた継体天皇が雄日子だと納得でき、この部分だと歴史小説としても読める。セイレンのパートだと和風ファンタジー。セイレンの物知らずな鈍感さがクセになっていく、ないだろうと思っていた藍十がそんなオイシイ位置に行くのも驚いた。雄日子も頑張れとなってしまう。2021/07/06
ときわ
20
前作を読んだ時、土雲の一族を風の谷のナウシカに出てくる腐海の木々みたいな存在と思ってしまったが、まるで違った。私の早合点だった。雄日子側の人たちは魅力的な人が多いのだが、対する大王側はちゃんと造形してあるのは雄日子側に寝返る人だけ。他は敵側の人間というだけで中身がペラペラなのは少し物足りない。土雲って今まで知ってた字と違うなと思っていたら、土蜘蛛がちゃんと出てきた!二つに分かれた「つちぐも」や神様の勢力争い、あまりにひどい目にあっている山魚様。一気にわらわらと出てきて広がった風呂敷。今後の展開が楽しみだ。2020/11/26