出版社内容情報
フィンランドで出会った年齢も性別もばらばらな4人。共通しているのは「くらげ」「異次元」というキーワード。異次元なんてあるわけない、けれど……!? 心がすうっと楽になる、世界が広がるサプリ小説。
内容説明
フィンランドの森に佇む素朴なホテルには、“異次元へのドア”があるという噂がある。ここで出会った日本人4人は、人生をやり直したいと切実に願っていた。殺人を犯して怯える男、居場所が見つからず悩む女、死んだ妻に会いたい男、子育を終え自分と向き合う女。ここではないどこかへ本当に行けるとしたら、どうする?揺れ動く4人が出した答えとは―。人生は、ままならないけれど、愛おしい。大きな肯定感に包まれる物語。
著者等紹介
尾崎英子[オザキエイコ]
1978年、大阪府生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒業。2013年、第15回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『小さいおじさん』でデビュー(文庫化にあたり『私たちの願いは、いつも。』に改題)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nico🐬波待ち中
94
深くて濃い緑に溢れ、木漏れ日が辺りを柔らかく包み込む神聖で神秘的なフィンランドの森。そんなα波がたくさん発生しそうな場所になら、異次元へ繋がるドアがあってもおかしくない。人生をやり直したい、と願う4人の日本人が時を同じくして、不思議な力に導かれるようにはるばるフィンランドの森に集まった。一度きりの人生、その場に留まるのも先へ進むのもその人次第。どちらが正解なんてない。迷って悩んだ末に、自分で決断することにこそ意義がある。フィンランドの母なる森らしく、迷える人々を優しくおおらかに包み込んでくれる物語だった。2021/05/13
みかん🍊
93
フィンランドのホテルメドゥーサ 、そこに異次元のドアがあるという、事件から逃げて来た占い喫茶のオーナー、人から感謝される人間になりたいが役立たずの自分はこの世界で生きる意味がないと思い込む女性、愛する妻を亡くしどうしても会いたい男性、子育ても終わり自由になり小学生の頃宇宙人に会った事を思い出し好奇心に駆られやってきた女性、面識もなく年齢も職業も違う4人が何かに導かれ、果たして異次元へ行けるのか、この世界に嫌気がさしてというだけでなく知的好奇心やこれから生きる為に覚悟を決めた4人のその後が気になる。2021/06/11
ふう
76
フィンランドの森に異次元の世界に通じる入り口があるという。そこへやってきた初対面の4人それぞれの物語です。自分の意志でやってきたような、何かの仕掛けで誘われるように来たような、そこからして不思議な話ですが、最後にその世界に行くか行かないか決めるのは自分。その緩さが考えるきっかけになり、次に踏み出す力になります。フィクションに参加するのもなんですが、わたしは行かないかな。2021/05/14
Vakira
52
フィンランドの森の中のホテル。異次元扉が現れるとの噂。4人の日本人がそのホテルで出会う。この感覚 タルコフスキーの映画「ストーカー」を思い出した。宇宙人の着陸地、ゾーンに行くと幸福になれるという伝説。「ストーカー」とはそのゾーンまでの案内人のことだ。「ストーカー」ではゾーンまでの行程の奇妙さ、科学者、文学者の未知に対する考え方の相違、葛藤に焦点が置かれていたのに対しこの物語は異次元世界へ行きたいという人々の動機に焦点が置かれている。藤子不二雄の漫画「パーマン」が登場。昔貸した本が舞い戻る逸話は嬉しい。2021/01/15
坂城 弥生
46
生きづらさを感じていた人たちのそれぞれの選択。どちらの選択でも新しい一歩に違いないんだろうな。2021/01/12