内容説明
第二次世界大戦の沖縄戦で家族とすべてを失い、魂を落としてしまった知花煉。戦後の闇市で一時の成功を収めたのも束の間、米軍のお尋ね者となった煉は、新天地を求めて南米ボリビアへと渡る。しかしそこも楽園ではなかった。移民にあてがわれたのは伝染病が蔓延する未開の地。呆然とする煉に、米諜報組織CICの魔手が迫る。一方、魂が分裂したもうひとりの煉は、若き革命家チェ・ゲバラに出会い恋に落ちてしまった…。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年生まれ、沖縄県石垣市出身。94年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス わが島のはなし』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年には『風車祭』が直木賞候補になる。17年刊行の『ヒストリア』(本書)では第8回山田風太郎賞、J‐WAVE BOOK BAR大賞2018(大倉眞一郎氏セレクト)、第52回沖縄タイムス芸術選賞・文学部門大賞の三冠を達成。沖縄の伝承と現代が融合した豊かな物語世界を確立し、圧倒的なスケールのエンタメ作品を次々と発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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goro@一箱古本市5/5
40
沖縄での激戦で生き残り米国支配の中、新天地を求めてボリビアへ逃亡、どこまでも力強く生き抜く知花煉の波乱万丈はまだまだ下巻へ続く。マブイと肉体はこれからどうなっていくのか。2023/04/12
活字スキー
25
【私は死に際なんだし、もうすぐ死ぬのだから、最期の瞬間だけは私の好きなようにしていい。死に際は何人にも侵されない最後の自由なのだ】一九四五年三月の沖縄に吹き荒れた鉄の暴風。この世の地獄で魂(マブイ)を落としてしまった少女。池上さんらしいブレーキのぶっ壊れた島人魂が炸裂する破天荒エンタメ、並外れた才覚と気概を宿した主人公がとにかくヒドイ目に遭うのはもはやお約束。戦後の米軍占領下沖縄でドン底から這い上がったのも束の間、スパイ容疑でCICから狙われる身となり、藁にもすがる思いで南米へと逃れるが……。 2020/10/15
Malos
19
知花煉。第二次世界大戦の沖縄戦にて、魂(マブイ)を落とす。生きるべく生き、米諜報組織CICに追われる立場となり、南米ボリビアへ渡る。一方、分裂した魂は革命家ゲバラに出会い恋をする。2人の煉は波瀾万丈な忙しい日々を生きる。2021/03/01
アオヤマ君
12
第二次世界大戦の沖縄戦から物語は始まる。主人公は戦災孤児の少女、知花煉。戦争で「魂(マブイ)」を失くし、諸事情により戦後の日本を抜け出し、南米ボリビアへ。波瀾万丈のロードノベルの様相を含みながら、伝わり難い現代史が刻まれる。浮き沈みが激しい「煉」の人生、だけどなんだか楽天的で渇いている。次々と展開が気になり読み進めてしまう。「私」と「わたし」一人称の視点でスピードを持って動く。物語だからね、このぐらい浮き沈みが激しくて、飛ばした感じが小気味良い。熱いボリビアでの出会いから、怒涛の展開の下巻へ。2020/10/28
みゃお
7
読了 二人?の煉の生きざまが、作者のどの作品よりも破天荒すぎて。 後半は、どうなってしまうのか。 2020/12/07