出版社内容情報
ヨハンナ・シュピリ[ヨハンナシュピリ]
著・文・その他
松永 美穂[マツナガ ミホ]
翻訳
内容説明
アルプスの山小屋で暮らす老人のもとに、孫娘ハイジがやってくる。純真で心やさしいハイジは、雄大な自然のなかですくすくと成長し、祖父、ヤギ飼いの少年ペーター、その家族の心を支える大切な存在となっていく。だが、そんなある日、ハイジは、足の不自由な少女クララの話し相手として、大都市フランクフルトへ行くことに―読む人の心をとらえてはなさない世界的名作を、ドイツ文学者松永美穂氏の完訳で。大人のための完訳版!
著者等紹介
シュピリ,ヨハンナ[シュピリ,ヨハンナ] [Spyri,Johanna]
1827年、スイス・チューリヒ近郊の医師の家に生まれ、地元で語学と音楽を学ぶ。弁護士と結婚後、40代で小説を書き始める。息子の療養に付き添い、マイエンフェルト近くのラガーツ温泉に滞在した際『ハイジ』の着想を得て、52歳のとき第1部を発表。これが成功し、翌年に第2部を発表。生涯で約50編の作品を残し、1901年74歳で死去
松永美穂[マツナガミホ]
ドイツ文学者・翻訳家。東京大学文学部独文科から、同大学大学院に進む。現在は早稲田大学文学学術院教授。シュリンク著『朗読者』(新潮社)の翻訳で毎日出版文化賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
neimu
57
頂き物。完訳だというが、まだ読み終えているわけではない。初読は少年少女世界の名作文学で。何度も読み返し、生まれて初めて21歳の海外旅行ではチューリヒから電車に乗って雪の残る3月、アルムの山々、ハイジの世界を辿りに行った。帰りはバッドラガツまで一駅歩いたよ。今から思えば大胆だった。子供の頃の読書体験はかくも若き頃の私を動かし…の思い出に浸りつつ、少しずつ読書中。ちなみに干し草のベッドは体験したことは無いが、農家出身の老母の幼いころは藁布団だったそうで。山羊は羊が飼えない土地の遊牧と大人になってから知った。2021/03/08
pirokichi
23
すごくよかった。アニメの印象しかなくドイツ文学者による訳本があるとは知らなかった。ハイジに出会って変わっていったアルムの「おじいさん」。おじいさんの変化が伝染し、みんなも笑顔になっていく。素直に気もちのよい、アルムの美しい景色の中で深呼吸したような心が浄化される作品だった。アルムのおじいさん、ペーターのおばあさん、クララのおばあさん…老人たちがハイジをよい方向へと導いていく描かれ方もよい。ハイジもクララもペーターもユキピョンもとてもかわいい。スイスのハイジ村、いいなあ。今から142年前、1880年の作品。2022/04/03
コニコ@共楽
23
来週の読書会に向けて、違う翻訳で再読です。光文社古典新訳文庫は挿絵ありでしたが、どちらの翻訳読みやすくサクサクと読めました。再読して印象深かったのが、ハイジのおじいさんの生活力です。自家製のチーズやバターなどを売って生計を立て、大工仕事の心得もあり、病人を介護する技も身につけ、植物動物のことも熟知しているなんて、すごいです。この頑固な70代のおじいさんが、ハイジを中心に皆と過ごすようになって、老年に”愉快な”生活を送れるようになることが嬉しかったですね。2021/12/11
Inuko
22
子どもの頃と同じように、アルプスの描写やおじいさんの作るチーズに心ときめかせながら読んだが、自然賛歌だけではなく、神を信じて生きる人々の姿に重きが置かれ、福音を伝える作品であることは今回初めて知った。私は、ハイジがフランクフルトでの苦しみを通して学んだ「待つ」こと「安心して」いることが大切なテーマだと思う。また、あなたがここにいることが何よりも嬉しいと伝えること(祝福)や、おじいさんの清潔で丁寧な暮らしぶり(自律)が心に留まった。神への賛美と感謝が溢れるラストは、ベートーヴェンの歓喜の歌が聞こえてくるよう2021/11/27
みゆき
20
アニメでお馴染み。児童書で読んで以来、以前からちゃんと読んでみたかった作品。改行が少ない上に、そこで、そうして、そんなわけで等の多用のせいか?直訳しすぎのせいか?テンポが悪くてさっぱり進まず、8日かかって読了。良い作品なんですが、読み難くて疲れました。 【2023.4.16追記】翻訳が読み難いので、光文社文庫版、遠山明子訳を借りて再読。← これの方が読みやすい。2023/04/08