出版社内容情報
物語は我々に、まだ見たことのない世界を見せ、感じたことのない痛みや喜びを与えてくれる。物語は我々の、寛容さを育てる鍵となる。しなやかに、誠実に、前へと進むために。「カドブンノベル」特集号を書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
79
深沢潮さんの『翡翠色の海へうたう』を読みたくて図書館で巡りあった。翡翠色の~は戦地で慰安婦にされた女性の救われない日常と諦めとが滲む胸が押し潰されるような一編だった。戦時下は何もかもが戦争を向く。戦争に勝つためならばどんなことも許される勘違いが横行する。兵隊に体を開く女性をそれだけではあきたらず殴る。許されない。許されないと思うが、当時は許された。酷い。……福袋みたいな これは雑誌?対談ありエッセイあり短編あり、短歌もある。就寝前に気になるところをひとつふたつ読み、眠くなったら電気を消して眠った。2021/09/19
野のこ
55
ここ数年から気になってる作家さん(寺地はるなさん、古内一絵さん、彩瀬まるさん、近藤史恵さん、そして津村記久子さん)と豪華。それぞれの『その境界を越えてゆけ』の表現も興味深く、全部は読んでないけど好きな作家さんはどれも面白かった!なんだか贅沢な一冊で大満足。そして王谷晶さんの『食う寝る処にファンダンゴ』の続きが気になります。幻想的な装丁も好み。2020/09/02
かおりん
26
フェミニズムとは、女性解放思想、およびこの思想に基づく社会運動の総称。政治制度、文化慣習、社会動向などのもとに生じる性別による格差、性差別に影響されず男女が平等な権利を行使できる社会の実現を目的とする思想または運動である。(Wikipedia)境界をテーマに書かれた小説や対談。綾瀬まる「わたれない」近藤史恵「あの日の電話」寺地はるな「いちご」宮内悠介「ラクパ•ナワンの嘘」後半の小説は各最初だけで残念。2022/03/28
くみこ
19
目次に次いで小池真理子さんと桐野夏生さんのカラー写真がどーんとあり、お二人の対談から始まります。続いて大槻ケンジさんと辻村深月さんの対談、人気作家さん達の小説・短歌やエッセイ、などなど。全て"境界"をテーマに、フェミニズム問題やあらゆる差別、同調圧力等の生きづらさを扱い、読者に色々な事を気づかせ、少し前へ進ませてくれる作品が揃っています。宮内悠介さんの「ラクパ・ナワンの嘘」が好みでした。罪をなすりつけられるより耐えがたい事…。そこは気づけなかった。盛りだくさんで豪華な一冊でした。2022/10/01
ゆっき
17
「カドブンノベル」スペシャルエディション。辻村深月さんらの対談や「その境界を越えてゆけ」をテーマに書かれた豪華なメンバーによる贅沢な1冊。彩瀬まるさんの『わたれない』と古内一絵さんの『競わせる女』がお気に入りです。同じテーマでもそれぞれの面白さがあり堪能しました!2020/03/21