内容説明
「俺は“思い出の場所”に真犯人の遺体を隠してきた。さあ、遺体捜しのはじまりだ」美貌の連続猟奇殺人犯、浅沼聖悟。彼が死刑判決後に放った衝撃の告白に世間は騒然となる。一連の事件に違和感を覚えていた刑事の望美は、単独で捜査に乗り出す。引き籠もりの中学生の宗太は、尊敬する動画配信者のにしやんに誘われ、もう一人のユーチューバー・セイと三人で、ひと夏の“遺体捜し”の冒険に出るが…。事件の真相を追う女刑事と、遺体捜しの少年たち。両者が交錯するとき、「真実」は変容する―!
著者等紹介
下村敦史[シモムラアツシ]
1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。各ミステリランキングで高評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
358
コープスとは、遺体の意味。若者たちが、ひと夏の「遺体探し」の旅に出るサスペンスだった。『スタンド・バイ・ミー』みたいで、設定は面白い。女性警察官が、一人で犯人たちに挑む場面はスピード感があって、読ませるが、ほかの登場人物の心理描写にはちょっと違和感。あまり入り込めなかった。2021/05/07
しんたろー
293
連続殺人犯の裁判時の告白から始まり、刑事・望美の捜査と、YouTuber・宗太たち三人による『スタンド・バイ・ミー』のような死体探しの旅、二つの物語が並行して描かれる…リーダビリティの高さでスイスイ読めるし、飽きない展開は面白いが…初期作にあった「熱さ」が感じられないのが寂しい。エピローグにその片鱗はあるが、主役の一人である望美の心情が薄くて彼女に乗れないのは、著者の弱点そのもの。宗太の成長譚と捉えれば悪くはないが、トリックも終盤前に見えて残念。期待の作家さんだから辛口になったが、引き続き頑張って欲しい。2020/03/18
旅するランナー
267
猟奇的連続殺人犯、ユーチューバー、謎の美少女、孤立無援な女刑事、半グレ、真犯人、遺体探し、拉致...ミステリーな設定が散りばめられています。まあ、世間を舐めくさった若者たちの話がかったるいなぁと感じますけど、途中から、あちゃー、そう来るかぁって、下村テクにやられます。そして、正義の追求や悪の断罪の危うさにまで突き詰めていく、下村ワールドの面白さに、SAY YES!としか言いようがないです。2020/04/04
いつでも母さん
229
『あなたは「彼」を断罪できるのかー表面的なそれらしい要因で分けてしまえるほど、人と人はちがわない。』自分だけは違うと胸を張って言えるか?私。刑事・望美が追う事件の真相と、遺体捜しのユーチューバーの時間軸がどこで交差するのかじりじりしながらページを捲った。そしてたどり着いた❝歪んだ真実❞に私は自問自答するしかない。世間とか、匿名の糾弾とか・・今回も考えさせられた。2020/02/17
パトラッシュ
189
「時間差トリック」で読者を翻弄するなどエンタメとしてはベストだが、小説として見ると納得のいかない部分が多い。下劣な人間たちは徹底的に下劣で、名前が違うだけで書き分けができていない。家庭に問題を抱える子供たちが集まって冒険に出るというパターンも、使い古されていて今さらだ。殺人犯の極度にエキセントリックな性格の毒母はエド・ゲインの母に似すぎているし、職業が大学教授という設定には無理がありすぎる。山田詠美さんなら母親が異常性格者になった原因と、息子に歪んだ教育を施して殺人者として成長していくまでを描いただろう。2020/02/22
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