出版社内容情報
シェイクスピア[シェイクスピア]
著・文・その他
河合 祥一郎[カワイ ショウイチロウ]
翻訳
内容説明
最高傑作、最大の悲劇。最新訳で堪能!改訂版の全訳に初版の台詞、徹底解説を付す決定版!
著者等紹介
シェイクスピア,ウィリアム[シェイクスピア,ウィリアム] [Shakespeare,William]
1564年、イギリス中部のストラットフォードで、商業を営む父と旧家出身の母との間の第三子として生まれる。82年、18歳で8歳年長のアン・ハサウェイと結婚、一男二女をもうける。故郷をはなれ、やがてロンドンで詩人・劇作家として幸運なスタートを切る。94年、新しく組織された劇団「宮内大臣一座」の幹部座員として名を連ね、俳優兼座付作者として活躍。およそ20年間劇作に専念し、劇作家として名をなす。1616年没
河合祥一郎[カワイショウイチロウ]
1960年生まれ。東京大学およびケンブリッジ大学より博士号を取得。現在、東京大学教授。日本シェイクスピア協会会長(2019‐20年)。著書に第23回サントリー学芸賞受賞の『ハムレットは太っていた!』(白水社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フラチキさんです
5
★★★★☆ 作者さん5冊目。なんとなく読みづらかった作品。角川文庫版のロミジュリが読みやすくて手に取ってみましたがこちらの注釈の量は中々の量。基本的に登場人物が狂っていたり腹黒だったりと読んでいて混乱するフレーズがいくつか飛び交うせいで私は少しだけ読みづらかったです(ハムレットよりはまし)。しかし絡みに絡みあった思惑のぶつかり合いは醜いものがありますね。所々に時代による差別感が滲み出ていてそこも面白かったです。なんやかんや一気読みです。2023/05/16
nightowl
4
光文社新訳文庫を読んだ際はプロットが錯綜していると感じた。しかしこちらのフォーリオ版だけで訳されたものは整然としている分物足りなさがある。擬似裁判の場はごっそりカット。多くの人が集まり混迷する世の不条理ぶりは折衷版の方が表現出来ているのでは...訳が分からないのに人を惹き付ける力も幾分か削られてしまったような。横内正版、英国ナショナルシアター版の長丁場を俳優の演技力で成り立たせるものを見ているだけにそつなくまとまりすぎている印象を拭えない。2024/08/16
おおとろ|内省的ストーリーテラー
2
☆☆☆☆ 再読2025/05/27
のえる
2
あらゆる立場の思いが交錯しすれ違いあっていく悲劇ですが、まともといえる人がエドガーや例の召使くらいしかいなかったので、その他の人間に酷い仕打ちが展開されていてもいまいち味方しきれず複雑な気持ちになりました。それがこの劇の醍醐味かもしれませんが……。いろんな演じ方によって見え方が変わる試みがなされてきたとのことなので、ぜひ劇場でも見てみたいと思います。丁寧かつ読みやすい翻訳で良かったです。2024/10/19
よし原
2
本文の約四分の一が注釈だ。これが原文の解説だったり、他作品との関連を示したり、文字通りの劇的な事柄であったりと、行き届いている。また、河合祥一郎訳は、押韻やハーフラインを日本語で再現し、台詞の音楽性を保つ。『リア王の悲劇』はわざとそれを乱す場面がいくつかあるので、登場人物の心の揺れがより伝わりやすい。劇のキーワードは「Nothing」で、コーディーリアをはじめ多数の者が様々な場面でこれを口にする。徐々にすべてを失っていくリア王は、舞台にいないときもやはり主役なのだ。身から出た錆もここまで来ると喜劇的だが。2021/08/15