内容説明
江戸時代中期。三日月村は極秘の派遣忍者業を営んでいた。村で育った孤高の女忍び・コウ。旗本・加納家の依頼で彼女に課された任務は、加納家の嫡男と、10万石の大名である下妻藩主・藤代家の末娘の重姫の“誘拐見合い”だった。絶世の美女と噂の重姫はここ10年、姿を見せていない。ある夜、屋敷へ忍び込んだコウが見たものは!?不可能を可能にするコウのまっすぐな生き方が心を打つ。笑って感動の時代劇エンタメ!
著者等紹介
大山淳子[オオヤマジュンコ]
東京都生まれ。2006年、『三日月夜話』で城戸賞入選。08年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。11年、『猫弁~死体の身代金~』で第3回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
83
大山さんが映画用に書いた脚本の小説化と言うことで、未だ映像にはなっていませんが面白かったです。三日月村の派遣忍者(忍者もハケンか)コウが任務に就いたのは、武家の長男と大名家の末娘の誘拐見合いを成功させること。早速、大名家に忍ぶれば牛のような大きな体の娘が夢中で饅頭を喰っている。表情も乏しく食う事だけが生きる全てと引きこもりすること10年間。ここからコウの手腕が発揮される。牛のような娘がいかにして大変身を遂げるのか?そうなのね、そうなのよ、うふふ♪コウの恋バナあり、人生の駆け引きあり、楽しめる作品。2020/08/01
papako
68
久々の大山作品。すごく楽しかった!派遣忍のコウモリの二人組コウと守一、誘拐見合いのためにさるお姫様を誘拐しようとするが、そこには牛のように太ったお姫様がいた!脂肪の中に隠れて心も隠したお姫様。コウによって、自分を取り戻していく重姫。牛の隠蓑の中身はとってもキレイな女の子でした。それを見染める黒光、重姫を見守る佐久、家老の青木などなど魅力的な人たちがいっぱい。大山さんだし安心して読んでいましたが、うっかり泣かされました。そして作者のイーヨくんに会いたくなりました。うん、よかった!2019/11/26
はつばあば
56
8歳までは白雪姫かかぐや姫か・・素晴らしい美少女が年頃になるととんと音沙汰無し。その重姫を「誘拐見合い」という場に連れて来いと旗本・加納家の密命を受けた忍者のコウ。彼女が重姫様に出会って・・・。男ども良く聞け!掃除洗濯主婦の能力はエステにも繋がるのだぞ!。そして恋に落ちたら牛でも豚でも全て真珠!。いやいやこの重姫さんいい人過ぎる。この父親や姉たちには勿体ないような心優しき三女のお姫様。コウにも幸せを掴んで欲しいです。ほんといい本をいつまでも積んでしまってる私ってアホやわ(^^;。2023/01/31
森の三時
46
くすくす笑ったりホロリとさせらたり、とても楽しめるエンタメ時代劇だと思います。心根に惚れて主人公たちに肩入れしたくなってしまいました。素朴な重姫に和菓子のような愛らしさを感じました。おなごの幸せ、意思表示、自己選択、美しさとはなど、根底にあるのはなかなか重いテーマなのですがシリアスに感じさせないとても優しい読後感でした。2022/05/19
はるき
35
絶世の美少女が食べ過ぎで牛並みの巨漢に…。潜んできた忍びが姫を美しくするために何だかんだ頑張ることで姫と忍びが友情を育んでいく。もっとドタバタコメディーにしそうな所を柔らかい筆致で枠に収めた感じが好印象です。人間は外見ではなく中身。でも、できる範囲で外見も磨こう。その方が女の子は輝くので!2019/08/11