内容説明
高鳥千草の元夫、謙二から娘に亡き妻が憑いたと相談を受けた拝み屋の著者は、さっそく原因の解明に動き出す。その過程で拝み屋の深町と桔梗、占い師の小夜歌、そして霊能師の美琴と浅からぬ縁で繋がり、行動を共にすることになった。一方で、こちらも著者と因縁深い老姉妹の一団が、ある“神さま”を目覚めさせようと暗躍していた…。過去と現在の点と点が線になり、膨れに膨れ上がった災禍の核心に迫る、シリーズ最終巻!
著者等紹介
郷内心瞳[ゴウナイシンドウ]
1979年、宮城県生まれ。郷里で拝み屋を営む。2013年、「調伏」「お不動さん」の2作で第5回『幽』怪談実話コンテスト大賞を受賞。受賞作は『怪談実話コンテスト傑作選お不動さん』に収録されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
128
「拝み屋怪談」シリーズ完結。「陰」で示された謎を回収する「陽」である。実話怪談とするには、あまりにもスケールが大きすぎて微妙な違和感を持ってしまう。こんなに能力者が終結して造られた神を祓う様子は、もはや実話怪談というより幻想小説だろう。住宅街の一角が呪われてゴーストタウンになるなど、まるで映画のようだ。それでいて、依り代の正体も分からない。またしてもタルパが頻出する。正直、私はタルパをよく理解出来ていないので鼻白む。実話怪談ではなく、創作物と捉えて読めば印象も変わると思う。作者の体調が良くなりますように。2019/08/27
HANA
63
下巻は登場人物揃ってのサイキックバトル一大決戦。上巻で語られていた因縁がここに結実する。…のだがどうも戦いがしょっぱい気がする。伝奇ロマンよろしく光と闇が呪力で対決するのだが、因縁が明らかになっていくのは面白いけど、戦いが…概念的なために内容がよく伝わってこないというか、あっさりしすぎというか。またある一点を境にやはり大正の私小説じみた鬱々とした内容に変わる。この鬱々とした様子、求めている怪談の湿気とは違うんだよなあ。ある点では決着が付きある点では引き延ばされたような、何となく中途半端な読み心地でした。2021/03/11
カナン
56
拝み屋怪談堂々の完結編。トリッキーな姉妹の言動とあまりに複雑な人間関係についていくのがやっとな前半、ひとつずつ繋がっていく人間関係、トドメとばかりに施されている呪術の悍ましさに「ぅえぇ」と気が遠くなる中盤からの、悪夢のようなクライマックス。過酷な状況を前に「いくつ体があっても足りない」と表現することがあるが、拝み屋の彼らの場合いくつ心があっても足りない厳しさと恐ろしさ。神を造りあまつさえ使役しようと考える人間の醜悪さと欲深さには言葉も無い。最後に、あまりに巨大な対価を払った郷内さん、どうかご自愛ください。2019/10/06
眠る山猫屋
51
えっ!?まさかの〝拝み屋怪談〟最終巻!?怒濤の展開だった。郷内さんのエピソードでかなりヤバかった山盛り仏壇呪術が四つも仕掛けられたり、その犯人も正体を現したり、死んだはずのアイツまで・・・。前編で腹立たしい態度だった深町も協力者となり、縁が縁を結び集う仲間も一丸となり(唯一チームワークを乱すのは作者のような気もするが)、ハルマゲドン級の戦いに。三転四転最期まで隠し玉もあり、花嫁の正体にも納得させてくれた。怖いより、凄い。圧巻だった。2019/07/26
kazitu
44
創作なのか実話なのか分からない。今回、読むのに、二週間もかかった。伏線回収とかあって楽しめたけど、サクサク読みはできなかった。😕2024/07/27