出版社内容情報
12分の1のドールハウスで行われた小さな殺人。そこに秘められたメッセージの意味とは? 美貌のご令嬢にして作家、しかも名探偵の千秋さんと若手編集者・岡部良介の名コンビによる名推理劇、完結巻!
内容説明
天国的な美貌を持つご令嬢・新妻千秋のもう一つの顔は、覆面作家。お嬢様の推理力が光るのは、小説の中だけじゃない。心霊写真に隠された秘密の思い出、断崖絶壁を走る車に仕掛けられた罠、ドールハウスに残された小さなダイイング・メッセージ。担当編集者・岡部良介にはお手上げの謎もなんのその、お嬢様は鮮やかに真実に迫る。2人の距離も次第に縮まって―?イラスト入り完全保存版で贈る“覆面作家”シリーズ、完結編!
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で第44回日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬貨の謎』で第6回本格ミステリ大賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、16年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
21
〈再読〉良介が担当する推理作家の由井へ、趣味仲間の藤山(恋人的関係)から送られたドールハウス。部屋の中で背中に矢の刺さった藤山自身らしい人形が倒れ、床にはダイイングメッセージとして書かれた血文字が残る。謎を解くように言われた由井は千秋さんに相談するが…(表題作) 誰が考えても告白としか思えない暗号を如何にして理路整然と解くか?本格原理主義者しか評価しないであろう暗号の複雑さに舌を巻くと共に、家を一歩出ると人格が変わる設定の千秋さんがつぶやく最後の一言に「最初からここまで考えてたんですか?」の感想しかない。2023/04/05
Sakura
12
覆面作家シリーズ第3弾にて完結編。それにしてもこのシリーズは会話が洒脱で、これを理解するセンスを求められるなあと、ぎりぎり理解できたようなできてないような気持で読みました。ディズニーランドで撮られた心霊写真、マルハナバチにまつわる真実、そして夢の家のダイイングメッセージ。第3弾が一番楽しめました。2020/11/19
Kei.ma
12
ペンネームが覆面作家という若手女流作家の千秋さん。謎多きイメージが漂いますが、北村薫さんはネタバラシをしてくれるので、実像の輪郭が浮かび上がってきます。そして謎解きが大好きで、驚きの天国的美貌。謎解きは三つ。写真、マルハナバチ、そして夢の家。このなんとも言えない響き、発見しました。謎解き名人は聞き上手、聞きながら映像が頭に浮かんでいるよう。だから会話の相手はついつい本音を吐露するのでしょうか。ところで、「夢」が意味深に思えます。でも、千秋さんから外弁慶が消えた一瞬、読者はその訳を知り拍手を送ったのです。2020/05/23
ジュンコ
12
新装版にて再読。ラストが好き。高野文子のイラストも大好き。2019/10/02
RED FOX
10
「イギリスだかどこかの《風が吹けば桶屋が儲かる》にはマルハナバチと鼠が出てくるそうですよ」古典教養が試される本格推理は、ひたすらワトスン読者になって翻弄されるに限ります。面白かった。2022/06/20