出版社内容情報
第4回角川文庫キャラクター小説大賞〈読者賞〉受賞作!凸凹コンビの怪異譚
内容説明
売れない作家の大久保のもとに、大学からの腐れ縁で、今は新聞記者の関が訪ねてきた。「怖がり役」として、怪談集めを手伝ってほしいという。嫌々ながら協力することになった大久保だが、先々で出遭ったのは、なぜか顔を思い出せない美しい婦人や、夜な夜な持ち主に近づいて来る市松人形など、哀しい人間の“業”にからめとられた、あやかし達だった―。西へ東へ、帝都に潜む怪異を集める、腐れ縁コンビのあやかし巡り!
著者等紹介
佐々木匙[ササキサジ]
1981年、神奈川県生まれ。2018年、『帝都つくもがたり』で第4回角川文庫キャラクター小説大賞“読者賞”を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★Masako★
76
★★★★「書店員支持NO.1!!」の帯に惹かれて購入。確かに面白かった!舞台は昭和初期の帝都・東京。酒浸りで気鬱持ちの作家・大久保が、大学時代の友人であるドライ&強引な新聞記者・関に頼まれ「怪談集め」を手伝うことに。2人が出会う日常の怪異はどれも面白く、ゾクリとしたり切なかったり。それだけではなく、大久保と関が抱えているものを絡めての展開は作品に深みを与えている。特に関の思いが吐露される最終話にじーんときた♪つくも(九十九)がたりだけに二人の奔走は続くだろう。続編も出ているので楽しみ♪ #二コカド20202020/12/15
凛
57
売れない作家の大久保は大学からの腐れ縁である新聞記者・関の怪談集めに「怖がり役」として協力させられることに。気が合うんだか合わないんだか分からないこの二人。けれど、何だかんだでいいコンビなのかも。一見冷たそうに見える関が、意外と情に厚いところが良かった。二人が出会う怪談、そこにあった誰かの想い。歪んだものもあれば、一途で真っ直ぐなものも。ドロッとしたものも嫌いではないけれど、好きだったのは後者の「炎のあわい」。一話一話が短いので読みやすいけど、少し物足らないところも。もう少し長い話を読んでみたかったかな。2019/07/22
ダージリン
32
表紙買いだったのですが、文体も好み~♪ 日本的情感とユーモアの混ざり具合が良い。主人公は売れない作家大久保と新聞記者の関という腐れ縁コンビで、友情の奥深さを感じました(笑)。怪談を追う話ですが、怪異に寄り添うような面もあってそれも良かったです。シリーズにして欲しいです~!!2019/05/28
mariann
25
昭和初期?好きな時代背景で酒浸りの売れない作家大久保の元に腐れ縁の大学の同級生である関が訪ねてきて、新聞の連載「帝都つくもがたり」の怪談話を共に集めることになった。よくある怪奇「かもしれない」ではなくガッツリ怪奇現象が起こるタイプの本。怪談話はどれも切なく哀しい話だった。それにしても大久保の飲み過ぎは看過できないレベルだがあの時代では当たり前なのか?最後の彼自身が闇落ちしそうになる話はあり得そうで本当にヒヤヒヤした。最初は結構淡白な関の人格が変わっていくのが見どころです。2022/02/28
瀧ながれ
23
読み始めたときは、主人公二人の性格や関係が、既存の作品でよく見るやつだなあということが気に掛かっていたのですが、彼らが出会う怪異の切なさが魅力的で、どんどん読めたのと、二人のつながりに影響を与える最終話によって、きちんと一冊が結末したので、いい作品であったという読後感が残りました。最後のあれは、ぜんぶ告白しなくても回想シーンかなんかで読者にだけわかるようにしてもよかったのでは?と感じたのですが、ここまで告白しても今後の訪問に触りはない関係となった、てことかな。2021/06/26