内容説明
関白側近黒田官兵衛の改宗、秀吉の九州征伐・伴天連追放令とキリシタン大名大友宗麟・大村純忠の死去、(千々石)ドン・ミゲルらの遣欧少年使節の帰国等々―。重大事件があいつぐ天正十五年(一五八七)を中心に、動揺する西九州を描く。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞。
目次
当(一五)八五年に下の地方で引続き生じた幾つかのことについて
副管区長が、都と豊後を訪れるために下の地方を出発した次第
副管区長が伊予国へ、同所からさらに豊後へ赴いた次第
副管区長が下関に帰ったこと、山口での布教が命ぜられたこと、司祭が関白殿の軍勢の総司令官小寺官兵衛殿に会ったこと、および彼が行なった恩恵について
改宗に関する黒田官兵衛殿の熱意と信心について
薩摩(国主)の息子たち、貴人らが、デウスの教えや司祭たちに対して抱いていた憎悪、ならびにこれに関して本年生じたことについて
ドン・バルトロメウ(大村純忠)の逝去。フランシスコ・パシオ師が尾張で行なった伝道について
本年の復活祭の折に山口で生じた一事件について
副管区長が本年、伊予の国へ布教することを命じた次第
山口および伊予国の司祭たちが平戸に赴いた次第〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
godubdub
1
副題というか,タイトルは,内容とはあまり関係が深くない。少年使節もいつの間にか行っていて,帰ってきたことだけが紹介される。他方で,時折出てくる魅力的な人物や奇談には,引き込まれる。本巻でも異色な盲人のキリシタン,ダミアンの活躍や悪魔とされる地元呪術師の力など,興味深い部分がある。2016/05/18
冬至楼均
1
秀吉の禁教令後の切支丹の対応は興味深い。2013/12/14
えんのしん
0
この巻ではキリシタン大名ではない小早川隆景の事がかなり詳しく、しかも好意的に書かれている。何でだろ?と思っているとこの隆景の養子の藤四郎こと秀包がキリシタンになるのである。うん。第73章では天草で発生した天然痘が語られる。天然痘という病気はあちこちの文献で語られるが、その患者が大変な悪臭を発するとはこの本を読んで初めて知った。剛毅な宣教師がひるむほどの「言語に絶するはなはだしい悪臭」であるらしい。フロイス日本史は色々な勉強になるなとしみじみ思う。2025/04/03