内容説明
20世紀最大の哲学者と永遠の生命を与えられた美しき生物たちとの「真理」と「生」の結実。
目次
透明な沈黙
真理と生
哲学と思考
いまある理性
未来へ
著者等紹介
鬼界彰夫[キカイアキオ]
1954年生まれ。筑波大学教授。専門は、言語哲学とウィトゲンシュタイン研究。京都大学大学院在籍中に、フルブライト奨学生としてニューヨーク市立大学に留学し、哲学の博士号を取得した
冨田伊織[トミタイオリ]
1983年生まれ。透明標本作家。北里水産大学在学中に透明標本と出合う。卒業後、働きながら透明標本を制作し、2008年5月、新世界『透明標本』として「デザインフェスタvol.27」に初出展。同年12月には「クリエーターズマーケットvol.19」で、作品賞1位を受賞した。以降さまざまな展示会に出展するほか、各地の東急ハンズや美術館などで、委託販売を開始する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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やいっち
40
日記や特に、「反哲学的断章」を読み返したくなった。「断章」は、素晴らしい。2019/09/13
skellig@topsy-turvy
20
美しくどこか優雅に不気味、蛍光灯より深海の暗闇が似合いそうな透明標本写真とウィトゲンシュタインの言葉のコラボ。宗教を深い静かな海底に例えた一文があるけれど、彩り鮮やかな標本を見ていると、生もまたそうなのかなと思わせられる。2013/06/07
白黒豆黄昏ぞんび
18
標本を透明にするとこんなに細部まではっきりと見ることができる。死んでいるのに生きているような生き物たちのこの小さな指の先にも神経が通っているということを意識させられるのは神秘的な体験だ。そしてウィトゲンシュタインの「物事をありのままに見、ありのままに語れ」という言葉。自己の奥深くまで潜り、人間の存在を見つめ続けて溢れだしたその言葉は、もっと真剣に生きよと容赦なく心に突き刺さる。2013/03/31
Yuka M
17
ヴィトゲンシュタインと透明標本の組み合わせ。素敵すぎる。2015/03/09
袖崎いたる
15
〈死の沈黙〉と〈生の言葉〉のマリアージュ。言葉を生に対して透明にしていくと沈黙へ至る。その言葉はウィトゲンシュタインのもの。彼をぼくは相変わらず自閉症やなぁと思う。なので思弁ではなく実存の懐から思考している観がある。前期は世界を定義する辞書を想定し、後期は辞書が所詮My辞書でしかないから――のような態度は、非定型発達者の向世界・対他者の葛藤とその蝉脱として考えると腑に落ちる。世界が〝ある〟という神秘の前に〝いかにあるのか„というレベルが控えているのも無視できないのは、論理的な実存の消息であろうと思われる。2017/01/12