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サガレン―樺太/サハリン 境界を旅する

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  • サイズ 46判/ページ数 288p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041076323
  • NDC分類 292.92
  • Cコード C0095

出版社内容情報

かつて、この国には“国境線観光”があった。

樺太/サハリン、旧名サガレン。
何度も国境線が引き直された境界の島だ。
大日本帝国時代には、陸の“国境線“を観に、北原白秋や林芙美子らも訪れた。
また、宮沢賢治は妹トシが死んだ翌年、その魂を求めてサガレンを訪れ、名詩を残している。
他にもチェーホフや斎藤茂吉など、この地を旅した者は多い。
いったい何が彼らを惹きつけたのか?
多くの日本人に忘れられた島。その記憶は、鉄路が刻んでいた。
賢治の行程をたどりつつ、近現代史の縮図をゆく。
文学、歴史、鉄道、そして作家の業。すべてを盛り込んだ新たな紀行作品!

歴史の地層の上を走り続けた、旅の軌跡――。
「本書での二度のサハリン行きのあと、私はまたサハリンに旅をした。
(中略)この島の吸引力は強く、この先も繰り返し訪ねる予感がしている。
この地で生きて死んだ人たちの声を聴くことは、おそらくこれからの私のテーマになるだろう。」(「あとがき」より)

【目次】

第一部 寝台急行、北へ
 一 歴史の地層の上を走る
 二 林芙美子の樺太
 三 ツンドラ饅頭とロシアパン
 四 国境を越えた恋人たち
 五 北緯50度線のむこう
 六 廃線探索と鉱山王
 七 ニブフの口琴に揺られて

第二部 「賢治の樺太」をゆく
 一 「ヒロヒト岬」から廃工場へ
 二 賢治が乗った泊栄線
 三 「青森挽歌」の謎
 四 移動する文学
 五 大日本帝国、最果ての駅へ
 六 オホーツクの浜辺で
 七 チェーホフのサハリン、賢治の樺太
 八 白鳥湖の謎
 九 光の中を走る汽車
 十 すきとおったサガレンの夏

おわりに
主要参考文献一覧

内容説明

樺太/サハリン、旧名サガレン。何度も国境線が引き直された境界の島だ。大日本帝国時代には、陸の“国境線”を観に、北原白秋や林芙美子らも訪れた。また、宮沢賢治は妹トシが死んだ翌年にサガレンを訪れ、名詩を残している。他にもチェーホフなど、この地を旅した者は多い。いったい何が彼らを惹きつけたのか?多くの日本人に忘れられた島。その記憶は、鉄路が刻んでいた。賢治の行程をたどりつつ、近現代史の縮図をゆく。文学、歴史、鉄道、そして作家の業。すべてを盛り込んだ新たな紀行作品!!

目次

第1部 寝台急行、北へ(歴史の地層の上を走る;林芙美子の樺太;ツンドラ饅頭とロシアパン;国境を越えた恋人たち;北緯五〇度線の向こう;廃線探索と鉱山王;ニブフの口琴に揺られて)
第2部 「賢治の樺太」をゆく(「ヒロヒト岬」から廃工場へ;賢治が乗った泊栄線;「青森挽歌」の謎;移動する文学;大日本帝国、最果ての駅へ;オホーツクの浜辺で;チェーホフのサハリン、賢治の樺太;白鳥湖の謎;光の中を走る汽車;すきとおったサガレンの夏)

著者等紹介

梯久美子[カケハシクミコ]
ノンフィクション作家。1961(昭和36)年熊本県生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮社、のち新潮文庫)で2006(平成18)年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米・英・仏・伊など世界8カ国で翻訳出版されている。16(平成28)年に刊行された『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社、のち新潮文庫)は翌年、読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞の3賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

334
著者は『散るぞ悲しき』の梯久美子。今回も渾身のルポルタージュである。第1部はサハリン夜行列車ででユジノサハリンスク(豊原)からノグリキへ。土地の珍しさと、サハリン鉄道に乗ったかという羨望の想いはともかく、紀行としてはさほど変わったものではない。ところが、第2部は出色の出来である。宮沢賢治もまた、花巻を発って、青森、函館、稚内を経て樺太を旅している。1923年賢治27歳の年である。賢治はその前年に最愛の妹トシを喪い、傷心の旅であった。梯は賢治の詩と『銀河鉄道の夜』(彼女が着目したのは第1稿である)を⇒2025/02/07

starbro

246
本屋大賞ノンフィクション本大賞にノミネートされてから図書館に予約したのでようやく読めました。ノミネート作、5作目(5/6)、梯 久美子、初読です。宮沢賢治、チェーホフ、村上春樹ら多くの文学者が訪れた地、サガレン(樺太/サハリン)の紀行文、興味深く読みました。但し、サハリンや鉄道にあまり魅力は感じられず、旅情はそそられませんでした。 https://kadobun.jp/trial/Saghalien/2021/01/10

まーくん

129
サガレン、現在のサハリン(樺太)の古称。元来、アイヌ、ニブウなどの人々が暮らしていたこの島は、近代になり日露のせめぎ合いの地となる。日露戦争で南半は一時、日本領になるも、二次大戦を経て現在のソ連/ロシア領に。著者は2017年、ユジノサハリンスク(豊原)から寝台急行で北部の街ノグリキを目指す。戦前、樺太を鉄路旅した林芙美子の足跡を重ねながら。更に翌年、宮沢賢治が亡き妹の姿を追った樺太南部の地を訪ねて想う。賢治には妹はいまだ死出の旅路の途上にあるように思えたのではと。それは後の『銀河鉄道の夜』に繋がる旅に。2020/06/12

buchipanda3

116
サガレンとは樺太、サハリンのこと。近いけれど馴染みのない地、そして宮沢賢治の旅の足跡に興味が湧いて読んでみた。前半は作者の趣味的な廃線探索の旅。こちらは鉄道旅行記な感じで割とまったり。後半は宮沢賢治の樺太旅行が主題。その旅行が「銀河鉄道の夜」のモチーフになったと言われているそうで、確かに旅の際に賢治が書いた詩や光景から物語の場面が浮かび上がる。この旅は彼の亡き妹の声を探す旅でもあり、詩に込められた彼の心情の変化がはっきりと感じられた。「春と修羅」の序文から読み取れるこの旅の意味の見解にもなるほどと合点。2020/10/21

どんぐり

98
鉄道ファンの著者がサガレンの廃線跡をたどる紀行。サガレンは、サハリン(樺太)の旧名。第1部は寝台急行に乗って林芙美子の足跡をたどり、第2部は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のモチーフになった地をたずね歩く。賢治が樺太に向けて花巻駅を出発したのは1923年。この年、稚内と樺太の大泊の間に鉄道省による連絡船(稚泊航路)が開通した。鉄路の果ての樺太に賢治の「銀河鉄道の夜」があったというのは発見だ。→2021/11/04

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