カドカワムック
幽 〈vol.30〉 - 日本初怪談専門誌 特集:平成怪談、総括!

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  • サイズ A5判/ページ数 424p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784041072677
  • NDC分類 905
  • Cコード C9493

出版社内容情報

「平成怪談」大特集&京極夏彦「今昔百鬼拾遺 河童」完結!本誌『幽』も、2004年の創刊から、今回で30号を数えることになりました。
思い返せば30年前の平成元年(1989)前後は、日本の怪談文芸やホラーにとって、大きな節目の時期でありました。
昭和63年(1988)には、本格的な国産モダンホラー/怪談文芸にいち早く先鞭をつけた小池真理子の長篇『墓地を見おろす家』が、平成元年(1989)には80年代伝奇バイオレンス興隆の双璧となった両雄の大作──菊地秀行『夜叉姫伝』と夢枕獏『上弦の月を喰べる獅子』が、平成2年(1990)には、稲川淳二『稲川淳二のここがコワインですよ』、木原浩勝&中山市朗『新・耳・袋』、常光徹『学校の怪談』という90年代以降の怪談実話シーンの方向性を決定づけることになる3冊が、そして平成3年(1991)には、90年代の日本ホラー興隆の呼び水となった鈴木光司『リング』、史上はじめてホラーで直木賞を受賞した高橋克彦『緋い記憶』、学術書でありながらその後の怪談文芸やホラー小説にも大きな影響を与えた高田衛『江戸の悪霊祓い師』……まさに、現代日本の怪談文芸は平成とともに始まった! と申しあげても過言ではないでしょう。
あれから30年──平成16年(2004)には史上初の怪談専門誌となった本誌が呱々の声をあげるなど、日本の怪談シーンは右肩上がりに、多様な展開を示して現在に至ります。
いま、平成が終わりを告げ、新たな時代が幕を開けようとするこの時期に、平成という時代に生まれた怪談小説・怪談実話・怪談漫画の全貌を展望する特集を企画した次第です。
 『幽』編集顧問 東 雅夫


◆特集「平成怪談、総括!」
【巻頭グラビア】冨安由真インスタレーション 「くりかえしみるゆめ Obsessed With Dreams」より
【復刻】「牛の首」  小松左京
【日本怪談紀行】「牛の首」伝承の湖へ――山梨「四尾連湖」探訪記  東雅夫
【怪談巡礼印象記】比類無き霊場、富士  加門七海
【対談】綾辻行人×有栖川有栖  怪談でしか書けないこと
【小説競作】平成と怪談
澤村伊智   「鬼のうみたりければ」
黒史郎    「インカーネーション」
恒川光太郎  「平成最後のおとしあな」
【評論】角川ホラーの怪談  朝宮運河
【対談】冨安由真×牧野修  虚に浸食される現実 アートと文芸
【座談会】
千街晶之×門賀美央子×朝宮運河  平成の怪談実話展望
【インタビュー】
伊藤潤二  ワンアイデアで勝負
高橋葉介  新たな怪談の芽がある
【対談】
うぐいす祥子(ひよどり祥子)×押切蓮介  平成デビュー二人が語る怪談漫画
【評論】
平成怪談漫画の三十年――〈心理学化〉・〈日常化〉・〈ノンフィクション化〉・〈キャラ化〉  イトウユウ
【座談会】京極夏彦×宮部みゆき×東雅夫  怪談×絵本のあらたな潮流in平成
【年表構成】平成怪談文芸年表&『幽』の軌跡  東雅夫

◆特別企画『夜のリフレーン』刊行記念特集 皆川博子
【掌篇】皆川博子  「雪」
【鼎談】日下三蔵×千街晶之×東雅夫  皆川博子作品の魅力をめぐって

◆連載
〈怪談小説〉
京極夏彦   『幽』『怪』横断連載 「今昔百鬼拾遺 河童 最終回」
有栖川有栖  「濱地健三郎の事件簿10 姉は何処(ルビ:いずこ)」
山白朝子   「家政婦」
円城塔/訳 アーネスト・フェノロサ&エズラ・パウンド/著  「カゲキヨ ほか四篇」
〈怪談実話〉
中山市朗  「怪談狩り」
福澤徹三  「怖(ルビ:ふ)の日常」
小池壮彦  「日本の幽霊事件」
安曇潤平  「山の霊異記」
藤野可織  「私は幽霊を見ない」
〈怪談漫画〉
波津彬子 監修=山内麻衣子  「幻妖能楽集 紅葉狩」
諸星大二郎  「給水塔」
花輪和一  「つくし」
高橋葉介  「妻を捜しています」
押切蓮介  「おののけ! くわいだん部」
岸浩史  「むげん散歩」
〈怪談逍遥〉
南條竹則   「幽的民譚(ルビ:ゴーストリイ・フォークロア)」

京極 夏彦[キョウゴク ナツヒコ]
著・文・その他

有栖川 有栖[アリスガワ アリス]
著・文・その他

山白 朝子[ヤマシロ アサコ]
著・文・その他

恒川 光太郎[ツネカワ コウタロウ]
著・文・その他

円城 塔[エンジョウ トウ]
著・文・その他

澤村伊智[サワムライチ]
著・文・その他

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

吉田あや

65
「幽」としては最終号となる寂しい号ながらも、掉尾!と打たれた所に万感の思いを感じる30号。掉尾を飾るに相応しい怒涛の構成に、最後は「ありがとうございました!」と試合の最後に大声で感謝を伝えるような高揚感。冨安由真さんの装画も惚れ惚れする美しさ。どんな物語に合わせてもこの一枚で雄弁に語ってくれそうな、静かな気迫に心酔する。楽しみにしていた、澤村伊智さんの比嘉姉妹シリーズ短篇。鬼の子を由来する笈戸山と双子の兄弟に奥深い恐怖と怨念が感じられ、何度も読んで掘り下げたくなる。(続↓)2019/04/14

adari

5
怪談専門誌『幽』最終刊。山白朝子の「家政婦」油断していたら最後の数行で背筋が凍った。2019/05/20

flatscan

3
最終刊。平成も終わりだし良い区切りか。内容も平成の怪談シーンを総まとめで読み応えあり。京極夏彦の「河童」が物凄いページを割いて掲載されてて草。でも今は読む気ない。伊藤潤二のインタビューはもっとたくさん読みたいなあ。澤村伊智の「鬼のうみたりければ」が良かった。現実(真実)と思ってた部分が揺らいで逆転する怖さ。読み返してしまう。皆川博子「雪」上手い人だなあ。最後にぞわりと来る。美しい。南條竹則「ゴーストリィ・フォークロア」案外面白かった。山白朝子の「家政婦」は流石。最後の1行でしっかり落とす。そして、怖い。2019/01/11

ekura

1
「掉尾!」と銘打った終刊号。『怪』と合流し新雑誌になるとか。2018/12/24

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