出版社内容情報
ジェマ、14歳。重度の脳性まひで話せず、動けない。ところが殺人犯の告白を聞いてしまい、なんとか誰かに伝えようとする。勇気と感動のサスペンス。
内容説明
わたしには、秘密がない。だって、脳性まひで話せないし、身体は動かないから。でも、ちゃんとみんなの話を聞いているし、わかってる。ときどき、わたしに秘密を打ち明ける人がいる。だれにも話せないんだから、わたしみたいに口がかたい人はいないから。でも、まさか、殺人を打ち明ける人がいるなんて。なんとかして、伝えなきゃ―!全英の少年少女たちの心をつかんだ、スリリングな感動作。
著者等紹介
ジョエルソン,ペニー[ジョエルソン,ペニー] [Joelson,Penny]
いまイギリスで、最も注目を集めている新人作家。10代から重度障害者を支援するボランティア活動をはじめ、現在は、障害を持つ児童を教える養護学校の教諭をつとめる。障害を持つ人々が、知能や知覚に問題がないのに、ただコミュニケーションができないというだけで人格を認められず、差別を受ける現状に心を痛め、障害者のことをもっとよく知ってもらいたいと児童小説の執筆を決意。2017年に『秘密をもてないわたし』を発表後、高い評価を得て、今年また別の作品を発表する。イギリス、ハートフォードシャーで、夫と子どもとともに暮らしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
41
ミステリー要素強く、続きを早く知りたくてページをめくる手が止まらなかった!重度の脳性まひと四肢まひを抱え、意思表示が出来ない少女ジェマ。彼女はある日、介護人であるサラのボーイフレンドから殺人を犯したという秘密を打ち明けられると共に、更なる危険を感じる。なんとかして伝えなければ!彼女の葛藤と苦悩に満ちた日々の重さに、そして勇気と希望に心震えます!!ジェマが里親である母と言葉を交わす場面では思わず涙がつたう。作者は今英国で注目の新人作家で、養護学校の教諭とのこと。良書!!多くの人に読んでもらいたい1冊です!2020/10/26
空猫
24
重度脳性麻痺で[まばたき]すら困難な少女、ジェマの語りで話は進む。やり取り出来ないだけで家族の事も話の内容も勉強もジェマは理解している。秘密が漏れないと分かって皆が誰にも言えない話を打ち明けて来たり、本性をさらけ出して来たり。そこで起こる殺人、行方不明、同じ里子の騒動、とミステリ要素もあり、盛りだくさん。ありとあらゆる要求が何一つ出来ない体なのに心は健常というもどかしさ。相手の立場に立つ事の難しさ…。児童書ならではの物語だった。2020/12/08
ひさしぶり
23
重度障害者に深く関わっていたから描けた気持ちや生活の盲点を犯罪解決と絡めたYA本。居ても分からないだろう喋れないからと存在を無視したり、あるいは極端に哀れんだりしていないだろうか?指一本さえ動かせない車椅子の少女が一発大逆転の犯人逮捕に貢献しちゃう胸がすく話。脳性麻痺の車椅子の14歳の少女、多動性障害?の女の子、自閉症の男の子の3人の里親をこなす事はいくら専門知識があり介護補助があっても日本じゃ(ヾノ・ω・`)ムリムリ。2021/07/06
ぽけっとももんが
15
うまいなぁ。重い脳性まひで意思を伝えられないジェマには、いわば王様の耳はロバの耳、邪悪な秘密を持つ者がつい秘密を話してしまう。ジェマに年相応の知性があると感じている家族やヘルパーのサラ、全くそんなことを想像しないダンや他のヘルパー。大人向けならばジェマは当然命を狙われるんだろうけれども、そこはYAなのでね。ジェマのように自分の気持ちを伝えられないもどかしさや腹立ちを、想像してみてほしいと思う。そして、3人の里子を育てるジェマの両親はすごい人たちだ。そのサポート体制も。2019/06/27
hautan
14
図書館本。児童書ではあるけれど、大人でも充分楽しめる真面目で考えさせられる本でした。気になってかなりの一気読みしちゃいました。おすすめ本です2021/04/12