出版社内容情報
阿月 まひる[アヅキ マヒル]
著・文・その他
内容説明
夏の炎天下、しがない30代男・奥田狐(通称:コン)のアパートを、小さな天使が訪ねてきた。天使の名は遊。離婚で別れた8歳の息子だった。久々の再会に、嬉しさより得体のしれない物に対峙したときの恐怖を感じてしまう狐。しかし息子は、上気した顔で、そんな父を見上げ微笑む…自分しか愛せない、とことんダメな父と、子どもでいることを必死に我慢する健気な息子が、親子をやり直すために奔走する姿を追う、涙が止まらない感動作。
著者等紹介
阿月まひる[アズキマヒル]
大阪出身。第1回角川文庫キャラクター小説大賞に応募した「仙人系クズ男のA玉」が評価される。応募作に加筆し、改題した『さよなら、ビー玉父さん』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
255
この感情、難しい。心当たりがないので共感ができない。男性なら共感できる人もいるんじゃないかな。キャロンの感情は女だからか理解できる。コンの様なクズ男、全部揃ってなくても一部持ってる人はたまに見かける。遊はいい子だがクズ男のコンに恋してるようだ。この2人は恋愛してる。でも叶わなくて心に穴が開いたまま。そして2人とも幸せになるのが怖い。人生、愛、幸せについてとても考えさせられる話でした。「「(前略)人間、空腹のままやったら我慢できるけど少しなにか食べてしもたら最後、もう飢えに耐えることはできへんねんやぞ」」2019/10/26
いつでも母さん
222
クズでサイテーの男・コン!けれど、愛すべきコンはコンのままで、それだけは真実ー幼いときに別れた息子・遊との交流で少しずつ愛って幸せな気持ちが心を占め、遊にとっての何者かになりたかったコン。(そもそも狐って名前もどうかと思うけれど)50になり子供が産まれる遊夫婦に一緒に東京行きを提案されるが・・男の人が父親になるのはいつなんだろう。人はいつ大人になったと自覚するんだろう。そんなことを思った。『大人になるってことは、身近な大人を超えること』分かり易い言葉だ。私はまだ大人になりきってはいない。2019/09/26
mariya926
162
去年のカドフェスから気になっていた本だったので読めて良かったです。思っていたより父親であるコンがクズでした。周りにいた女性は素敵というか、社会的には自立できていましたが、これでもコンのクズっぷりを救えるほどではなかったです。ちなみにここに書いているクズというのは、本文でも何度も使われていたので使っていますが、愛あるクズです。その反対に息子である遊の素晴らしさ。そりゃ父性も開花されますよね。周りにいる大人を越えた時に大人になるって言葉に納得しました。越えちゃっていいんですね。2020/09/18
ゆのん
143
離婚によって離れて暮らす父親に2年ぶりに8歳の息子が会いにくる所から物語は始まる。元妻を含め周囲の人間からも、読者からもクズと称される父親。確かに読み始めはクズだなと感じる。それでも父親を愛する息子にキュンとなるが、息子への愛情に気付き溢れ出る父性愛に戸惑いながらも不器用に必死に息子を愛する父親に心打たれた。読みながら『本当にクズだな…。』とこちらまで泣き笑いの顔になってしまう。相思相愛の親子。体は離れていても2人とも幸せじゃんと暖かい気持ちで読了。2019/10/05
やっさん
137
★★☆ 趣味も定職も意欲もないバツイチ男だが、愛する息子に慕われ、若い女と半同棲し、どの職場でも人望がある。こういう人、実際いるよね。。。終盤は泣き所らしいが、残念ながら感動は共有できず。2020/02/09