角川文庫<br> Fの記憶―中谷君と私

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角川文庫
Fの記憶―中谷君と私

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  • サイズ 文庫判/ページ数 256p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041063439
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

誰も本当の名前を思い出せない、不思議な表情をしたただFと呼ばれるとらえどころのない少年。シューズメーカーのお客様係に勤める43歳の容子は、不良品のクレームを会社が隠ぺいしようとしていることに気がつく。どうすべきか迷った容子は、ふとFだったらどうするだろうと自問する。若いころ悪だった43歳の悦史は、解体業を営む今も高校の頃リンチに遭わせたFの発した言葉に捕らわれていた。老舗の茶商で社長を務める41歳の有輔は、25年前淫蕩な母をナイフで刺そうとした自分を押しとどめたFの一言を思い出していた。目撃談のように語られる、それぞれの人生に立ち会うFの記憶。それは今も深く心の奥底に生きている。誰も彼のことを詳しくは知らない。そして、最終章で描かれる本当のFの視点……。ミステリアスな構成から紡ぎだされる陰から光に、喪失から再生へ、一歩踏み出す人の背中を押してくれる一筋の光のような物語。

内容説明

誰も本当の名前を思い出せない、ただFと呼ばれる彼。会社の不正を知った43歳の容子は、Fだったら、と自問する。解体業を営む43歳の悦史は、高校でリンチに遭わせたFの言葉に今も囚われている。41歳の有輔は25年前、淫蕩な母をナイフで刺し殺そうとしていた自分を止めたFの一言を反芻していた。目撃談のように語られるそれぞれのFの記憶。人生において喪失は再生の始まりであることを描いた一筋の光のような美しい物語。

著者等紹介

吉永南央[ヨシナガナオ]
埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coco夏ko10角

25
色んな時期にFと関わった三人とF本人のお話。小・中・高ずっと同校だった人でも名前が思い出せない、しかも変わることなくずっと「F」…。色んな人から見たFのこと。一体どんな人?となっていたところへ最終話で本人が。2018/05/31

のの

11
名前も覚えてもらえずFと呼ばれる男の子。 だけど、なぜかみんながFとの忘れられないエピソードを持っている。理解出来ないものに対する好奇心、恐怖、羨望、Fに対する感情が様々で どれほど魅力的な人なのか気になったところで最終話、ついにご本人登場!とてもおもしろかった。2018/11/29

hiromura

5
紅雲町珈琲屋シリーズの吉永さん。Fと呼ばれる人物の印象は良くないし、それぞれの主人公も好きになれなかったが、ラストのF本人の話が良かった。2022/08/20

へいがぁ

2
この作家さんの淡々とした筆致が、好みです。主役(?)の存在感も良いですが、やっぱり老女を描くのが抜群に上手いと思います。2018/02/23

gmax

2
Fの行動に影響を受けた3人と、そのFの話。名前も覚えていない人でも、人生に影響を与えることがあるという観点はいいなあ。それが他人との距離感を上手く構築できない(と思っていた)Fだからこそ、というのが大きなポイントか。個人的には3人目の「俺には家出はむいてないらしい」という締めくくりが好き。/実は文庫までにずいぶんかかったのね、というのを解説読んで知った。2018/02/02

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