出版社内容情報
緑やピンクのインクを使って白い紙に好きな相手の名前を書く、宙に向かって指で四縦五横を切りつつ「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」と鋭く唱える…。「オナジナイ」と聞いたとき、思い浮かぶのはこんな風景ではないだろうか? では、「オハライ」あるいは「ノロイ」との違いは?
オマジナイとはどんなものか? 「厄払い」と「厄除け」は違うのか?――深くて広いお咒いの神秘と謎に加門七海が答える、人気作品『お祓い日和』の対極に位置する姉妹本!
内容説明
九字を切る、ゆびきりをする、千羽鶴を折る、これらはすべて、オマジナイ。深くて広いお咒いの謎に迫る。
目次
第1章 お咒い日和(言;結・折・切;身;遊;芸)
第2章 古来のお咒い(大工;大麻;マタギ;海女;傀儡・木偶まわし;舞妓;酒造り)
第3章 お咒いと占い
著者等紹介
加門七海[カモンナナミ]
東京都生まれ。多摩美術大学大学院修了。美術館の学芸員を経て、1992年に『人丸調伏令』で作家デビュー。オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、作品にもそれらの知識が反映されている。著作は、小説、エッセイ、歴史ノンフィクションなど多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
105
気にするかしないかーですよね。知らずしらずにやっていたり、拘っていたりしていたことがある。遙かいにしえの頃よりずーっと続いていることもあり、淘汰されたものもあり・・ふむふむと読んだ。私の事だから、読んだだけかもしれないけれど、懐かしく思い出した事柄もあった。八百万の神が住む日本。神仏に纏わるあれこれ。『おまじない』オドロオドロしくもあり、神秘的でもあり・・知識として面白く読んだ。2017/09/21
jam
94
私たちの日常は「咒い」に満ちている。今ではその始まりの意味を知ることはなくとも。言葉に意味があるように所作にも意味があり、呪術的な意味を持つことも多いという。本作は、日常的な「咒い」から儀式までを平易に、しかし、学術的に綴り興味深い。「咒い」は裏を返せば呪いとなり、意趣返しや祓いにも通じる。だが、本来は願いなのだろう。理不尽な人の世に多かれ少なかれの願いをこめ、愛する人の息災を、平穏な日常を祈る。どんなに文明が進歩しようと私たちは何ひとつ手に入れたためしはない。だから「咒い」はひそやかに生き続ける。2017/10/11
ナディ
39
恐ろしさも怖さもなく、さらっと終わったので拍子抜けした。どちらかと言えば、むしろ詳細を書くことを避けたらこうなった、みたいな感じ。2017/09/19
鷺@みんさー
33
さすが加門七海。系統だって淀みなく、何よりわかりやすい。小説ではなくエッセイで、こういった内容を扱う場合、やはり「専門的な内容をいかにわかりよく伝えるか」が肝要だと思う。すらすらと心地よく読了。2020/12/18
テツ
23
おまじないについて。意味のないモノやコトに意味を付与する。つながりのないモノやコトをつなぐ。祝いや呪いと同じことでまっさらな世界に意味をつけ加えるというテクニックは改めて考えてみると本当によくできているなあと感心しますね。現代社会にだってまじない的なしきたりは相当数残されているよなあ。人間は森羅万象に対して何らかの形で自分の意思が反映されていると思い込まないと不安になってしまう生き物なのかもしれませんね。そうしたところから全てが生まれてきたきがします。2020/03/18