出版社内容情報
直木賞作家の新たな到達点! 書くことに取り憑かれた女はどこへ向かうのか
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
439
作家を目指す女性の話!個人的な話ですみませんが、この作品はコンディションが良いときに読みたかったですね。コンディションが良ければ集中力もあって、一気読みできる面白い作品だったと思います。『砂上』の 物語の中にも『砂上』の物語…。現実と虚構…。ちょっと混乱しましたが、ミオ、令央、美利はなんだかんだ家族なんだなという絆を感じ、作家と編集者で作りあげる作品の大変さの課程には、桜木紫乃さん本人の姿に見えました。令央には、2作目を頑張って書いてほしいと応援したくなりますね。2017/11/10
starbro
352
桜木紫乃は、新作中心に読んでいる作家です。著者が同い年ということもあり、応援しています。本書は母娘、親子三代の物語、中編ながら女の業が詰まっています。半分、私小説でもあるのでしょうか?2017/10/19
さてさて
335
『人は変われるんです』とおっしゃる桜木さんが一冊の小説がこの世に生まれるまでのデビュー前の一人の作家の苦悩を描いたこの作品。『編集者』である乙三のひと言ひと言を噛み締め、小説を改稿し続ける主人公・令央の生き様を描くこの作品。それは、小説を書くことを通じて、人それぞれの人生を肯定することができるようになった令央が変わっていく瞬間を垣間見る物語、令央の成長を描いた物語でもあったのだと思います。いつもの如く北国の四季の移り変わりの絶妙な描写も相まって桜木さんの作品作りの上手さをとても感じた素晴らしい作品でした。2021/09/18
zero1
281
暗く地味な作品だが、読んでいて冷や汗が出た(後述)。作品を書いて応募するものの【作家未満】だった40歳の令央はバツイチ。ビストロで働き元夫から毎月5万円受け取る生活。母は亡くなり妹(秘密あり)がいる。そんな彼女に編集者の乙三が会いに来る。【なにがしたいんですか】とドライに言葉をぶつける乙三。過去の応募作を書き直してみないかという話だった。主体性の無さなど悩みつつ書き直しする令央。その先にあるものは何か?「ホテルローヤル」で直木賞作家になった桜木らしいノワールな作品。新井賞に選ばれた、読んで損なしの秀作。2020/10/01
yoshida
275
複雑な母娘関係を持つ柊令央が、小説「砂上」の出版のため、編集者とやり取りを重ねる。数度の書き直しとなるが、自身の母の過去を知る等の経験を経て作品は完成する。今までの桜木作品とは少し異なる印象を持つ。今までの桜木紫乃さんの作品では暗さの中に仄かな救いがあったと思う。この作品では私の読解力の不足もあり、そこまでの救いは感じられず。ヒリヒリする感覚は健在。離婚した夫とのやり取り。たかりと呼ばれながら慰謝料を一括で請求し手切れとする様子。私小説のため勤務先を追われる様子。繰り返し読むと理解が深まるのかもしれない。2018/01/06