出版社内容情報
北山 猛邦[キタヤマ タケクニ]
著・文・その他
内容説明
何もかも理想通りで、身悶えするほどキュートな彼。あるとき彼が殺し屋なんじゃないかと不安になり…(「かわいい狙撃手」)。ある初冬の日、クラスメイトが見守る倉庫から、転校生が忽然と消えた。彼女は幽霊?(「つめたい転校生」)。寂しい少年時代に出会ったたったひとりの友達は、人を殺す妖怪?(「いとしいくねくね」)など、人と人でないものとの切ない恋をめぐる、驚きのトリックが冴えるミステリー短編集。
著者等紹介
北山猛邦[キタヤマタケクニ]
1979年、岩手県生まれ。2002年『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mihya
85
単行本「人外境ロマンス」を文庫化で改題。元のタイトル通り、人と人外との淡い恋にミステリー要素をちょっぴり加えたファンタジー。可愛らしく、ほろ苦く、何だか和む。読みやすくて楽しかった。2023/06/02
スカラベ
69
人と人でないものとの恋愛を描く6つの短編集。最初の「かわいい狙撃手」は、ふふっ、やっぱりそうか!とほっこりとして終わり、次の「つめたい転校生」ではミスリードも加わり意外な結末にきゅんとなる。そして最後の「ちいさいピアニスト」では、それまでの流れからてっきり・・と思い込みが先行してしまい、すっかり術中にはまり騙される。構成も実に鮮やかで見事な作品群。ベストは「いとしいくねくね」。あの怖い都市伝説のくねくねをモチーフとし、恐怖を超えた切なさの余韻と言葉の持つ重さが心をいつまでも揺さぶる。2018/01/06
yukision
67
人と人でない者とのファンタジーラブストーリー,6編の短編集。どれも不思議な世界だが,妖しさよりも優しさや可愛さが感じられて,結構好み。どれも良かったけど,「いとしいくねくね」「はかない薔薇」「ちいさいピアニスト」と後になるほど気に入った。2022/01/19
のっぱらー
64
ファンタジーとミステリーの融合は、物理トリックの雄、北山猛邦のもうひとつの得意技。以前に読んだ「私たちが星座を盗んだ理由」にも通ずる、なんとも不思議ながら、ゾクッとしたりほっこりしたりのストーリー展開に、サクサク読了。こないだ出たタイガの新刊もぜひぜひ読んでみたい。2016/04/30
よっち
64
気になる彼の正体は殺し屋?倉庫から突然消えた転校生、自分の身の回りで起きる不審死など、人でないものとの切ない出会いを描く連作短編集。ミステリ要素も交えつつ、人でないものとの出会いや交流、別れが読みやすいテンポの良い文章で描かれていて、どうしても重くなりがちなテーマで意外な視点を提供したり、ほっこりするようなテイストで描かれた作品もあったのはわりと新鮮でした。ハッキリとした結末を提示するばかりでなく、読者の想像に任せるようなスタンスもまた味わいのある読後感に繋がっていて、これはこれでなかなか良かったですね。2016/04/25