角川文庫
銀の匙

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  • サイズ 文庫判/ページ数 201p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784041028070
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

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内容説明

土の犬人形、丑紅の牛―走馬燈のように廻る、子供の頃の思い出。それは、ひっくりえかした宝石箱のように鮮やかに彩られている。誰の記憶の中にでもある“銀の匙”。その永遠なるものを素材にした、永遠の文学を貴方の心に届けます。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

183
年始特有の白を溶かして澄ませた青空に、冷たさが頬を刺す凛とした空気。その中にしんと静まった声で、何処までも遠くにのびてゆく美しい言葉たち。それらすべてを掴んで留めておけないのが切ない。誰の心の中にも大切に取ってある幼年期の記憶。もう戻らない愛に包まれ安心しきった幼さ。郷愁。 世界が美しすぎて泣きたくなる。「波の音が悲しいんです」と涙をこぼす繊細な筆者にとって、戦争はどれだけ辛いものだったろう。しみじみと美しい日本の情景とことばたちが染み渡り、いつまでもいつまでも読み続けていたい。素晴らしい本です。2019/01/04

あきぽん

121
夏目漱石が絶賛したという、長らく読んでみたかった本。大人の言葉で、大人向きに書いているのに関わらず、子供の視線で子供の見ている世界をリアルに描写している。しかも幼児から数え年17歳まで、自然に視点が成長している。なるほど名文‼2020/10/01

りゅう☆

102
幼少時は虚弱で知恵の発達も遅れ、痩せて人見知りのひどい臆病な主人公のそばにはいつも叔母さんがいた。小さな口に薬を含ませるため叔母が探してきた匙を見つけ、昔のことが思い出される。初めてのお友達のお国さん、ちょっぴり甘い初恋相手のお蕙ちゃん、お寺で出会った貞ちゃんなど数少ないお友達と健気に遊ぶ姿が微笑ましい。ずっと背負ってくれた叔母さんの目が不自由で老いた姿が切ない。終始静かな雰囲気に包まれた感じ。感受性が強くて、軸のブレない主人公の感じた思いが紡ぎだした言葉が豊富。表現が豊かで綺麗。教科書に掲載されてそう。2019/10/05

ぶち

99
『星の王子様』に"ゾウを飲み込んだウワバミの絵"が大人には帽子の絵にしか見えないというエピソードあります。大人の見方、考え方でしか物事を捉えられないのです。"大人になりなさい"とよくいわれますが、子供のように好きなものに無邪気に取り組み、物事を"大人の分別"なしに素直に捉えることはとても大事です。無垢な子供の視点で描かれたこの小説は、繊細で純粋で美しいです。"大人の分別"に囚われない見方で世界が描かれています。手に取るだけで子供時代を素直に思い出すことができる"銀の匙"を私は持っているのでしょうか...2019/01/22

優希

93
清らさと純粋さを感じずにはいられませんでした。小さな一箱ある銀の匙。人見知りの「私」への愛情としての匙。「私」のために祖母が特別に探してくれたことがじんわりきます。病弱の弱さが辛いものではなく、あたたかく語られるのが印象深かったです。明治の東京の下町ならではの雰囲気を描くのが美しいのですよね。2019/08/15

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