内容説明
東京の巨大ホテルの社長が堅牢な密室で刺殺された。捜査線上に浮かんだのは、事件の夜に刑事の平賀とベッドをともにしていた美しき社長秘書。状況証拠は秘書と事件の関係を示していたが、間もなく彼女も福岡で死体となって見つかった。なぜ彼女は社長殺しを計画し、東京から遠く離れた福岡で殺されたのか。愛した女性の真実を求め、平賀の執念の捜査が始まる―。鮮やかなアリバイ崩しが光る、江戸川乱歩賞受賞の傑作。文庫書き下ろし短編収録!
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年熊谷市生まれ。青山学院大学卒。10年に及ぶホテルマン生活を経て作家となる。江戸川乱歩賞・日本推理作家協会賞・角川小説賞・日本ミステリー文学大賞・吉川英治文学賞を受賞。推理小説の他、歴史小説・ドキユメントにも作風を広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@ヴィタリにゃん
62
1969年作品だが、加筆?訂正されている感じがする。当時は新幹線が東京から大阪までしかなく、福岡で殺人を犯した犯人がどうやって時間内に捜査の目を欺きながら行動したかが面白かった。それにしても愛する恋人を殺された平賀刑事が可哀想。執念の操作は実っても彼の心は晴れない。当時の旧き良き刑事さん達も登場し、大変読み応えのある名作でした😊2024/04/08
みっぴー
59
森村氏のデビュー作にして、乱歩賞受賞作品です。ホテルのワンマン社長が密室で殺され、直後に美人秘書が福岡で死亡…アリバイ崩しに重点を置いた警察小説風な物語でした。森村氏といえば、ホテルマン。内容も例にもれずホテルマンならではの発想と視点を生かした、むしろ生かしすぎて訳が分からないような凝りに凝ったトリックとなっております。熱意、意欲、ビンビン伝わってきます。小説家になるためにホテルマンになったのか、ホテルマンになったから小説家になったのか…きっと接客しながら高層の構想を練っていたのですね。2016/11/18
森オサム
43
第15回江戸川乱歩賞受賞作。52年前の作品を著者の訃報に触れ30年振りの再読。密室トリックとアリバイ崩しの本格警察ミステリーで有るが、とにかく濃かった。特にこのアリバイは相当堅牢で、執念の捜査は読み応えが有りました。勿論時代が違いますから、現代であれば防犯カメラ、ドライブレコーダーをチェックすれば秒で解決する事件なんですけどねー。思えば30年経っても著者の作品は結局コレしか読んだ事が無い。本作は結構面白かったが、膨大な著作群に怖気付く。他の作品はもう触らなくて良いかな…。2023/08/19
達ちゃん
39
50年前に出た乱歩賞受賞作。ひたすらアリバイ崩しに挑む刑事の執念なかなかでした。読み応えあります。2019/09/27
外枠発走
38
文学賞受賞作。そして、著者の代表作のひとつ。高層ホテルで起きた密室殺人の謎を解くミステリー。著者のホテルマンとしての経験が、この作品でいかんなく、また随所で発揮されていた。加えて、時刻表を使ったトリックなども駆使し、古くとも、ミステリーとしての完成度は高いと感じた。社会派の一面を期待していたが、なくともお腹いっぱいにさせてくれた。防犯カメラなどない時代の警察関係者の苦労は、筆舌に尽くしがたい。この作品を描いた頃が、著者が最も脂が乗っていたのではないだろうか。2024/03/14
-
- 和書
- 「戦訓報」集成