出版社内容情報
吉川 英治[ヨシカワ エイジ]
著・文・その他
内容説明
時は永禄4年正月。上州廏橋の城内で、謙信は賑やかな群臣のなかに、一人にこやかに座していた。北条の勢威が近境の小国を脅かしているのを見るに見かねて、小田原攻略の大策の途中である。そこへ、甲州の軍が北へ移動しているとの情報が入る。積年の宿敵、武田信玄とは、3年前に親睦の約定を取り交していたはず。思わぬ裏切りに憤った謙信は、川中島へと足を向けた。因縁の対決の決着はいかに…。戦国の世を雄大に描いた傑作。
著者等紹介
吉川英治[ヨシカワエイジ]
本名、吉川英次(ひでつぐ)。明治25(1892)年、神奈川県に生まれる。昭和35(1960)年、文化勲章受章。昭和37(1962)年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rigmarole
8
印象度B+。海音寺潮五郎の『天と地と』は謙信の半生を扱っていますが、本書は川中島の戦いの中の有名な一合戦(『天と地と』では最後の場面)に焦点を当てています。見馴れない古い言葉の多用(語彙の広さに驚愕)に、いちいち広辞苑で確認しつつ読んだ(記載のない語も多い)ので、牛歩の読書でした。越甲両軍の動きや情景は仔細に書かれており、特に壮絶で凄惨な死闘の生々しい描写は映画を見ているようです。しかし司馬遼太郎のような考察や洞察が少ないのは物足らない。人生訓や思想を抽出できないのです。畢竟、娯楽小説ということでしょう。2019/06/27
future4227
4
上杉謙信の生涯というより、4回目の川中島決戦がメインに描かれている。ストーリーはわかっているのに、この合戦は何度読んでも面白い。まさに歴史に残る名勝負だ。関ヶ原のように調略勝負ではなく、純粋に知略勝負なのが魅力なんだろう。そして、真偽はともかく大将同士の一騎討ちも見所。勝敗はともかく 、上杉謙信の人間的な器の大きさに尊敬の念を抱かざるを得ない。2015/02/01
gushwell
3
題は「上杉謙信」だが、内容は第4次川中島の戦いを中心に書かれている。謙信と信玄の二人の名将の知恵を尽くした駆け引きが面白い。戦さの名前は知っているが内容をほとんど知らなかったので、いろいろと収穫があった。謙信の人間性にも興味が湧いた。文体などに時代を感じるがまあ書かれた時代を考えれば致し方ない。2024/12/10
ミッキーラブ
3
直前まで武田家の本を読んでいたので、今度は上杉側で書かれた小説が読みたくて選んだ本。 かなり時代が感じられる内容でしたが、楽しめました。川中島の戦いの話。なんだか、江戸時代の講談を聞いているような気分になる内容と話の進め型でしたね。2020/01/18
HIRO
3
武田軍のキツツキ戦法を見破った、謙信の才はどうやったら身に付くんだろうか。やっぱり才能か・・・霧が晴れて、目の前にいるはずもない敵がいたら、普通そこで勝負が決まるのにそこで冷静に軍配をとる信玄もすごいな。2015/03/30