内容説明
貞淑な妻、包容力ある母、愛情深い恋人、献身的な娘として、役割を演じながら葛藤しつづける女性たちの仮面の下の素顔。苦しみ、憎しみ、渇望―女の内面に巣くう花と蛇をあぶりだす、団鬼六賞受賞作家、入魂の衝撃作!
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
京都女子大学文学部教育学科中退。旅行会社勤務、映画会社勤務、バスガイドなど様々な職を経験する。2010年、『花祀り』で第1回団鬼六賞の大賞を受賞し、小説家デビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
98
一面を薄桃色に染める春の桜…など季節の移りゆく京都を舞台にした六篇。私たち日本人は、娘の初産の安産を…、孫の中学受験の合格を…、息子の店の商売繁盛を…、家族の健康を願って、神様に手を合わせに神社に詣でます。今作六話のテーマは「願掛け」ですが、そこに「呪い」も加味されて、鳥肌が立つホラー仕上がりです。いつもの観音さんの性愛描写は抑えられて少しばかり期待外れですが、オンナ達の嫉妬、復讐、憎悪…などゾクッとする怖さの物語が面白い。暑い夏の夜には恰好の一冊です。 【図書館本】2019/09/07
えりこんぐ
77
連作短編。どろどろとした欲望を抱えた女たちが自分の血を流し、願い事を叶えてもらう神社。願いは叶うのに、必ずバッドエンドなところが面白かった。自分の願いとは、時に誰かに呪いをかけること..。2019/06/09
starbro
39
エロスとホラーの二刀流作家の今回はホラー短編集です。京都、神社、血とホラーの舞台は整っています。昭和にエログロの時代がありましたが、花房観音には平成のエロホラ・クイーンを目指して欲しいと思います。2014/12/11
keith
35
京都の下賀茂神社の近くにある知る人ぞ知る名前もない神社。そこの小さな社に自分の体を傷つけ血を滴らせて祈ると願いが叶うという。いや、願いというよりは呪いが叶うと言うべきか。苦しみや憎しみから逃れようとする6人の女たちの願いは神様に届くのか。花房さんにしては官能色は薄め。女の業、エゴ、嫉妬心が渦巻くネガティブな話が多くいや~な気分になったが、それはそれで面白かった。2015/04/08
カピバラ
35
こ、こわすぎるー!!読み終わってびっくらこいた。人の妬み、恨み、悲しみは果てがありませんな。血を捧げて呪いを願う神社に祈る人たちの情念が恐ろしかった。知らず知らずのうちに人に憎まれたり、妬まれたりしているのかもしれないと思ったら、背筋が寒くなった。人を呪わば、穴二つ。2015/01/04