出版社内容情報
綾辻 行人[アヤツジ ユキト]
著・文・その他
内容説明
もうひとつの京都―「深泥丘」世界へ誘拐されてみませんか?妖しい眩暈とともに開く異界の扉。誰もいない神社の鈴が鳴り響き、甲殻類の怨念が臨界点に迫り、町では桜が狂い咲く。超音波検査で見つかる“心の闇”、霧の日に出現する謎の殺人鬼、夜に蠢く異形のモノたち…ありえざる「日常」が読者を包み戦慄させ、時には赦し解放する。ほら、もう帰れない。帰りたくない―!名手が贈る変幻自在の奇想怪談集。
著者等紹介
綾辻行人[アヤツジユキト]
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年に『十角館の殺人』で作家デビュー。これを引き金に巻き起こった「新本格ムーブメント」は、推理小説界の一大潮流となった。92年には『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。「館」シリーズを代表とする本格ミステリを書き続ける一方で、ホラー小説にも意欲的に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
84
元々が独り語りの夢物語のような話しなのに、ここにきて「こんな夢を見た。ーような気がする。」と、夢の情景が語られだしたが、そこの処の境界の曖昧さは兎も角ホラー映画をネタにした作品は、その出来は別として、この連作に加えるのは如何なものかと思わざるを得ない『ソウ』…はないやろ!?そうそう、そう思うやろ?と思うぞう~、ちなみに*はアスタリスクを変換すれば出てくる。#ニコカド20202020/11/05
ゆかーん
79
深泥丘奇談の続編。前作と比べるとゾクゾクするような恐怖感は薄れましたが、その分殺人事件の謎を解く、ミステリー要素が色濃く出ていました。ダイイングメッセージに記されたアルファベットを推理していくと、「13日の金曜日」や「ソウ」など、ホラー映画にみたてた殺人へとつながっていくという設定が面白いです。また、主人公の持病の眩暈が前作より重症化しており、このまま幻覚ばかり見ていると違う世界へ行ってしまいそうで怖いです。次の『続々』で深泥丘の謎が解明されて、彼の病気が少しでも良くなればいいなと思います。2017/05/19
おかむー
75
なるほどこれは『続』のタイトルにふさわしい、変に発展させたり真相に近づいたりしない気持ちの良い続編ですね。『よくできました』。もともと単にホラーというよりも怪奇幻想という言葉がふさわしい短篇集だったものが、今作では綾辻行人が思い立ったときに楽しんで書いてるなという雰囲気でコミカルさも加わってきましたね。「ホはホラー映画のホ」からの「ソウ」のふざけっぷりがとてもほほえましい。三作目も視野に入っているそうですが、無理に結末をつけるような作品でもないでしょう。このままつらつらと続けていってほしいものですね。2015/02/18
里愛乍
65
前作初読時はモヤモヤざわざわ、まさに「……」というおいてけぼり感満載だったんですが、今回はどれも綺麗に収まってた―――ような気がする。少なくとも余韻を充分に楽しむことはできました。前回は不気味でしかなかった石倉医師や咲谷看護師なんて登場するたびに安心感すら覚えます。今なら前作読み返せばまた違った読後感を得られるかも。それもこのシリーズの魅力のひとつなのでしょうね。『狂い桜』『三地蔵』がお気に入りです。2016/08/22
スカラベ
65
深泥丘奇談の続編。前作は少なくとも主人公の記憶の曖昧さをめぐる奇談という閉じた世界だったが、今作はこの枠を取り払い、楽しんで書いているのが伝って来る。ホラー映画を題材にしたり、思わず吹き出すオチなど遊び心満載。ともあれ、それぞれの作品は相変わらず綾辻テイストがふんだんに盛り込まれ面白い。「狂い桜」は『Another』を想起させる話。「切断」は解説にある通り、驚天動地の結末で思わず唸る。「コネコメガニ」にでてくるモズクガニのがん汁は、本当にある料理とか。これは食べたい-ような気もするし、そうでない気もする。2014/11/06