内容説明
西暦2109年。人間の心理・性格的傾向を数値化できるようになった未来世界。厚生省公安局刑事課に所属し、当時、“監視官”だった狡噛慎也は、“執行官”の佐々山光留と、名門女子高校・桜霜学園の生徒、桐野瞳子に出会う。常守朱が刑事課に配属される3年前、後に“標本事件”と呼ばれ、狡噛が執行官に堕ちるキッカケとなった猟奇殺人事件の真相とは―。本書でしか読むことのできない書き下ろしショートストーリーも収録。
著者等紹介
高羽彩[タカハアヤ]
静岡県生まれ。脚本家、演出家、役者。個人演劇ユニット「タカハ劇団」主宰。Krei所属。2013年東京芸術劇場「芸劇eyes第2弾」では新時代の5人の女性劇作家に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
適当に購入した物本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
123
PSYCHO-PASSの最新作のPROVIDENCEが、もうすぐ公開される事から積読本だった本書を引っ張り出して読みました。「標本事件」をメインにした前日譚でした。狡噛も執行官では無く監視官でまだまだ青二歳。厚生省管轄の包括的生涯福祉支援システムである「シビュラシステム」はドミネーター示す犯罪係数程度でしか存在を露わにしていません。時代設定は西暦2109年で常守朱が配属される3年前。TVアニメが放送されてから10年以上経っているなんて驚きです。私の好きなアニメBest3以内に入るとっても大好きな作品です。2023/05/10
藤月はな(灯れ松明の火)
80
再読。「兄か歳の近い叔父がいたら佐々山みたいな人がいい」と思える位の面白く、聡明で気持ちのいい奴。そんな彼が「喪失を抱えても生きよう」としていた矢先にあんな最期を迎えるなんて酷すぎる・・・。佐々山が「ここで何もしなかったら、俺自身が終わっちまう」という言葉が切なくも哀しい。青柳さんと神月君の掛け合いも新編集版を見た後だと余計に切ないです。対して藤間の「自分と作り上げた世界以外はどうでもいい」という考え方と色相の浄化のために一々、騒ぐ人々には「そこまで自分のことしか考えられないのか」と寒気しか起こらない。2014/09/28
ごま
55
佐々山が超良いキャラで、なぜアニメに登場してくれない!!とおもった。憧子も結局あんなことになっちゃって、彼女の件はなんかすごくサラっと流されちゃった感じがしてならなくて、かなしいなあ…。狹噛さんのキャラは昔はギノ寄りだったんですね。アニメとキャラが違いすぎて狹噛さんのセリフにも行動にも始終違和感があった。佐々山の一部はアニメ1期の狹噛に引き継がれて、狹噛の一部はアニメ2期の朱ちゃんに引き継がれたのかな、とか思うと泣ける2015/01/18
よっち
54
監視官だった頃の狡噛慎也と佐々山ら執行官の交流、そして後に「標本事件」と呼ばれ、狡噛が執行官に降格するキッカケとなった猟奇殺人事件の真相を描く前日譚。優秀だが真っ直ぐ過ぎて佐々山とたびたび衝突していた狡噛の変化や、それと知らないまま事件に関与していた桜霜学園の生徒・桐野瞳子と佐々山の交流がわりといい感じに描かれていた分、彼らが藤間幸三郎の事件に巻き込まれて人生が暗転してしまう無情な結末がやりきれないですね。本作は本編で描ききれなかった部分をうまく回収していました。最後のクリームパンのエピソードは良かった。2015/01/18
絹恵
41
(再読)トーマの心臓は必要とされず投げ棄てられ、脳だけを求められたけれど、彼は最大幸福の担い手として人形を扱うように世界を構築することに幸福を見い出しただろうか。シビュラに取り込まれても意思はあると言ったけれど、その感情は滲み多くの感情と混ざり合い、もう彼のものではなくなっているように感じます。彼の世界に土足で踏み込む者がいなければ、他を傷付けることはなかったと思うから、やっぱり私は寂しさに耐えられなかった彼を完全な悪だと言うことは出来ません。2014/10/05