内容説明
社内で起きた盗難事件、深夜に現場を撮影したビデオは封印された(「持ち禁」)。売れないキャバ嬢を大金でホテルに誘った客の正体は?(「実験」)。なぜかからみを厭がるAV女優、監督は撮影を強行したが…(「雨女」)。サクラで出席した結婚式、新婦の過去は空白だった(「虚式」)。訪問販売員が民家で見つけた謎の印が恐怖を呼ぶ(「マーキング」)。思わず本を閉じたくなる、忌まわしい話シリーズ第3弾!
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て作家活動に入る。著書に第10回大藪春彦賞受賞作『すじぼり』など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
178
福澤徹三さんの忌わしい話の3冊目ですが、やはり人間これでもかとばかりに嫌な話ばかりを読まされ続けると少しは救いがあって癒やされる話が欲しくなる物で、そういう気分にドンピシャの話を紹介しますね。『ひきこもり』二十代後半の今は自動車工場に勤めるOさんの3年前の話。厳しい父から都会に逃げた彼は父の死と共に田舎へ帰り温厚な優しい母の下で働きもせず怠惰な生活を送るようになる。母がパートで働く金も食いつぶしネットショッピングできなくなった彼は次第にネットで何でも売りさばいて行き、何気なく父方の先祖を祀った仏壇を見る。2020/10/10
キンモクセイ
60
人怖だったり、何かおかしい嫌な感じがしたりする感覚的ホラー。「ひきこもり」社会人になりハードワークのせいでひきこもりになった。部屋から出ずにネットショッピングで散財し母のパート代でも足りない。最後に目をつけた仏壇。引出しの中を物色しようとしたら、そりゃあ、ご先祖さまも怒りますよ。「床下」古い家を購入した。寝室は何故か湿気が酷い。調べてもらうと床下から井戸が出た。一体何があったのか?何故隠そうとしたのか?「虚式」結婚式や披露宴のサクラのバイト聞いた事ある。新婦の母以外全員サクラだった。怪しすぎる。2021/06/13
HANA
56
実話怪談集。というよりエッセイを読んでいるような気がする。流石に第三弾ともなるとネタの方に苦しむのか、実話怪談としてはそれほど見るべきものはないように思う。ただし一捻りしたものの方が興味深いのが多い。例えば階段の生成現場を見るような「犬の悲鳴」や生理的に嫌な話「赤い水」、人間のナマな嫌悪感が伝わってくるような「トイレを汚すひと」「痛客」、何となく理由が納得できるようなしない方がいいような「甘木くん」等。やっぱりこの著者、怪談そのものより人間関係が醸し出す嫌悪感不快感を描くのが向いているんだなあ。2014/07/01
なっち
32
1、2、と終は読んでいるので、これが最後の忌談。 今作も忌々しかった…やはり幽霊云々も怖いがもっと怖い世界がある。特に怖かった作品→『開かずの箪笥』『病の真相』『痛客』2017/08/24
☆kubo
20
厭なヒトの話とオバケの話が入り混じった本。ヒトもオバケに勝るとも劣らず、他人を訳のわからない恐怖に陥れることができるんだなあ。印象に残ったのは「実験」「トイレを汚すひと」「笑顔の理由」など、なぜかヒトの話が多い。2014/07/19