出版社内容情報
歌野 晶午[ウタノ ショウゴ]
著・文・その他
内容説明
九州から東京の一軒家に越してきた夫婦。間もなく妻が「誰かの目を感じる」と訴えだした。原因を探る夫がネットから見つけてきたのは、かつてその家で、凄惨な一家惨殺事件が起こったという記事だった。その日から、妻の様子がおかしくなり…。(「転居先不明」)密室で発見された主婦の死体が思わぬ事件を暴き出す表題作など、5つの「家」にまつわる人の悪意と謎。読者の予想を必ず裏切る、衝撃のミステリ!
著者等紹介
歌野晶午[ウタノショウゴ]
1961年千葉県生まれ。東京農工大学卒。88年『長い家の殺人』でデビュー。2003年に刊行された『葉桜の季節に君を想うということ』が「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」の第1位に選ばれ、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞し、ベストセラーとなる。10年には『密室殺人ゲーム2.0』で史上初、2度目となる第10回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
198
歌野さんの短編集と聞いて興味深々…「家」をテーマにした5つの話…『人形師の家で』はホラータッチで楽しめたが、ミステリとしてはモヤモヤが残った。『家守』も予想通りの結末に落ち着いて納得しつつも物足りない。『埴生の宿』は歌野さんらしいトリックと切なさが漂う雰囲気が好み。『鄙』はトリックに苦しさも感じるが無医村と戦争を絡めた時代設定勝利。『転居先不明』は構成の妙で本作中で一番の出来に感じたが、一家惨殺の真犯人が透けて見えてしまったのが残念。様々な仕掛けで読者を楽しませようとする姿勢は健在で、今後も読みたい作家♬2019/09/02
ちょろこ
166
家ミステリの一冊。家を舞台に描く五つのミステリ。雰囲気、トリック、どんでん返し、納得感、全て満足。最近特殊ミステリが多かっただけにオーソドックスな面白さが良かった。表題作「家守」のトリックになるほど…こんな殺害方法も有りかと妙に納得感。そして予想外の真相になるほどとまた更なる納得感。「鄙」は一つの村を"家"に仕立て上げているところが巧いし、こういう村の雰囲気は好きだ。一番どんでん返しを味わえたのは「転居先不明」これは家に帰りたくなくなる。予想外のラストは納得のオチ、ざまあみろ。2021/04/07
とん大西
152
最近ちょいちょい読友さんのレビューでみかけるので借りてきました。不穏が不穏を呼ぶ裏切らない着地点。どの短編もわかりやすい設定ながら丁寧な仕掛けで面白く読めました。どんでん返し…というよりはおそらく…だろうか。そんな予想を補完してくれる表題作「家守」がお気に入り。愛憎も哀愁も全て霧消し、忘却の彼方へ…てな読み味がすこぶる嫌ミス的です。2021/04/29
ベイマックス
119
5作の短編集。謎が提示されて、物語を追うと推理が頭に浮かんで、似たような感じで物語上も推理が展開されていく。だけど、さらにひとひねりが待っている。◎刑事物や警察物ではないから、逮捕が結末ではなく、人情噺的なところもあって、またそこがいい味で、面白味を増している。2021/04/22
タイ子
111
じんわりと湿った空気感が漂うこの面白さ。そして、ストーリーの展開の上手さが絶妙。プロローグは何のこっちゃ?みたいな感じだけど、話の筋が見えてきて「ははぁ、犯人はコイツだな」って推理していくとやっぱり!ってて満足・・・してはいけない。その先があるのだから。そして、プロローグとエピローグがしっかり繋がり伏線を見事に回収なわけである。うーん、降参!家には家族の数だけ物語が生まれ、そこには生涯秘密な出来事もあり、予期しない出来事も起こる。夫婦間の思惑違いが大きな失態に繋がることも…ざまあみろ!(言ってやった・笑)2021/04/24