出版社内容情報
トレントンにあるあばら屋で、正体不明の男が殺されていた。しかし、その男の妻を名乗っているのは二人……。男は重婚者で二つの街で別々の人格として暮らしていたことが判明した。はたして犯人は……。
内容説明
ニューヨークとフィラデルフィアの中間にあるトレントンという町で、一人の男が殺された。被害者は、エラリーの旧友ビルの妹の夫だった。現場に向かったエラリーが調査を進めていくと、男の妻だという女性が新たに現れる。2つの都市を行き来して二重生活を送っていた男は、どちらの人格として殺されたのか?論理パズルと人間ドラマが融合した、クイーンの傑作。“国名シリーズプラスワン”の最後を飾る新訳第10弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
213
★★★★☆ エラリー・クイーンが主人公の長編としては、初めてタイトルから国名が外れた作品。 しかし、その面白さは全く変わっておらず、訳の素晴らしさもあって一気読みしてしまった。 個人的に見当違いの推理をしてしまい、犯人を大はずししてしまったのが心残り。 ちなみに作中でも述べられているが、法律家の目から見て、陪審制度とはいえこれしきの証拠でルーシーが有罪になるのはあり得ないし、そもそも起訴すらできないレベル。だから裁判シーンはイライラした(笑)2020/11/25
W-G
119
再読ですが安定の面白さ。どちらの人格として殺されたのか?非常に魅力的な問いかけですが、作中ではあまり言及されません。そこがこの作品の残念なところです。この問いかけに驚きの回答を用意してくれれば・・・と、無い物ねだりしてしまう。クイーンの推理は鮮やかで、国名シリーズの一作としても遜色ないです。法廷のシーンはどうなんだろう?新訳だと軽すぎて退屈に感じる人もいそうです。ハヤカワの災厄の町と九尾の猫の新訳も越前訳だとは知らなかった。我慢できずに旧訳のライツヴィルシリーズを一通りポチってしまった・・・。2016/06/28
やきいも
97
妻がいる男が殺された。そこにまた新たに男の妻だという女性が現れる。男はそれぞれの女性が待つ家で二重生活をおくっていた事がわかる。男は一体、どちらの人格として殺されたのか...。きっちりとパズルを解くように論理的に犯人を探していきます。派手なストーリー展開等はあまりありませんが、しぶくて味のあるエラリー・クイーンのミステリーです。2015/12/31
みっぴー
47
紹介文を読んで、あまり期待せずに読み始めました。重婚していた男が殺された。衝撃的な事件とはほど遠い。が、べらぼうに面白かった!男は貴族なのか?セールスマンなのか?どっちの人格として殺されたのか?スリリングな展開に、思わず「( ゚Д゚)」。最後に勝つのはエルだと分かっていても、、、。敵役の検事、刑事、上流社会側の面々が、適度にイラつかせてくれます(笑)しかし、陪審員制度って恐い。若くて魅力的な女性が被告人のときは、あれは選んじゃダメでしょう。ラストはハッピーエンドでしたが、ジェシカが少し気の毒でした。2018/09/21
Kiyoshi Utsugi
45
ニューヨークとフィラデルフィアの中間にあるトレントンにいたエラリー・クイーンのもとに旧友で現在弁護士をしているウィリアム・エンジェルから妹ルーシーの夫であるジョーゼフ・ウイルスンが何者かによって殺されたという連絡が現場に向かいます。 そこで二重生活を送っていた男であるということが分かります。 果たしてジョーゼフ・ケント・ギンボールとして殺されたのか、ジョーゼフ・ウィルスンとして殺されたのか… 国名シリーズではなかったので、正直あまり期待はしていなかったのですが、良い意味の期待外れとなりました❗2021/09/22