出版社内容情報
ちょっとだけ見えてきた老いの予感。爽やかな笑いに満ちた物語。
元気すぎる母にふりまわされながら、一人暮らしを続ける作家のソノミ。だが自分もいつまで家賃が払えるか心配になったり、おなじ本を3冊も買ってしまったり。老いの実感を、爽やかに綴った物語。
内容説明
物を書くのを生業にしてあっという間に27年が経った。若い頃のようには仕事も家事もはかどらない。書かなくちゃと思っても見事になにも浮かばない。腹を立てないなんてできやしないし、大事な仕事を忘れることもある。とかく人生ままならない。「仕事がなくなっても、頼ってこないでね」と言っていた母は82歳になった。日々はかくも甘くない。それでもソノミは毎日、書いている。作家の日常をヴィヴィッドに綴った長編小説!
著者等紹介
群ようこ[ムレヨウコ]
1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はたっぴ
84
著者のエッセイのような小説が大好きで、仕事が煮詰まったり、嫌なことがあると逃避場所のように手に取ってしまう。今回は連休谷間の通勤電車でまったり読了。作家ソノミは母親と叔母のケアをしながら作家業に精を出している。母を猛獣扱いしたり、仕事に対する信念を図太く貫く姿は群さんそのものだが、出版業界の世知辛さやシリアスな悩みも語られている。『どんな常識的な内容であっても、正しく非の打ち所のない内容であっても、不愉快に思う人は必ずいる。それが当たり前。賛否五分五分で当たり前。』これは人生論にも通じる格言だと思う。2016/05/02
乱読亭AKIRA@晴釣雨読🎣
74
群ようこさん初読本。エッセイではないはずなのに、主人公が作家ということで、どうしても主人公が群さんにしか思えなくて、勝手にこういう人なのかと思いながら読み進めました。作家の日常や出版業界の裏側などが分かった点は非常に良かったです。しかし、全体を通して、別居している82歳の母親への不満がリアルに綴られていて、本作はもしかして、群さんが日頃感じている母親への鬱憤を吐き出した作品なのかなとも思いました。ただ面白かっただけではなく、将来必ず訪ずれる親の介護問題とも向き合う良い機会になったと思います。2016/03/17
したっぱ店員
49
ほとんどソノミ=群さんのように思える、ノンフィクションのような作家さんの日常生活。文中にあるように「後世まで残る」とかは無いかも知れないが、電車の移動時間(に読んだので)をとても楽しく過ごさせてもらった。出版関係のシビアな話も興味深い。最近作家さんサイドからのこういう話を良く聞くのだけど、できるだけいい状況で創作活動を続けていっていただけるようにこれからも本を買います。2016/04/20
ありちゃん@道東民
36
明日は我が身というか、今日既に我が身!的な本当に身につつまされる作品でした。群ようこさん自身の体験も含まれているのでしょう。親は必ず老います。実母がそうなったら、どうするか皆さん一度は考えるテーマのように思います。親に振り回されたり‥。ソノミさんは、一人で頑張ってるのが偉いなって思いました。主人がただいるだけでも、頼れる人がいるだけでも救われる部分はかなり大きい。血縁としてケジメはつけなくてはいけない、残念ながらそれが子供として生まれたものの定めなのだという一文には納得してしまいました。2017/08/29
かっちゃん(かっち)
33
面白かったけど…身につまされる内容です。明日は我が身!(。>д<)2017/06/27