内容説明
若くして夫と死別したアンは愛情を注いで一人娘セアラを育ててきた。だが再婚問題を機に二人の関係に亀裂が。貞淑だった母は享楽的な生活を送るようになり、誤った結婚を選択した娘は麻薬と官能に溺れていく。深い愛情で結ばれていた母娘に何が起きたのか? 微妙な女性心理を繊細に描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
52
ノン・シリーズ。女性ならではの生き方を見たようでした。シングルマザーとなったアンはセアラに愛情を注いで育ててきましたが、再婚問題でいがみ合うように。結婚とは何かを考えたのは、セアラが結婚後麻薬と官能に溺れていく流れでした。普通の親子以上の絆があった母娘。微妙で繊細な心理が痛みとして刺さります。2024/03/16
yumiha
50
メアリ・ウェストマコット名義で書かれた作品。つまりミステリーではない作品。娘と少しもめたので、つい選書しちまった💦でも、私の実生活とはじぇんじぇん関係のない作品だった。長く二人で(メイドもいるけど)暮らしてきたばかりに、私から見れば「共依存」の母娘だと思った。それが母の再婚話をきっかけに生活まるごと崩れていく。母親の友人のローラやメイドのイーディスの穿った見方が面白かった。特にローラの「60男はレコードみたいに同じことを喋る」や「恋をした男はしょぼけた羊」など、笑わせてもらった。2021/11/09
geshi
45
クリスティーの人間観察の目が見事な非ミステリの別名義作品。言葉の表面的なものの裏に隠された意図を知り尽くした作者だからこそ、やり取りのひとつひとつがスリリングで、場面が重層的に解釈される。”誰かのため”といった善意を糊塗した人間の卑怯さをこれでもかと見せつけてきて、「もう少し相手を思いやってあげろよ…」という読者の思いとは裏腹に修復できない軋みを上げる。憎しみが表面化するシーンは読んでいて胸が痛くなるほどだったが、ラストでギリギリの所の救いがあってホッとした。2017/11/29
Tanaka9999
36
2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。訳者あとがきあり。解説は児玉数夫(映画評論家)。第2章までが前振りで第3章で大きく物語が動く。第3章のきっかけは『愛の重さ』ほどは唐突でない。最後は主人公たちへの思いやりで終わり、うまくまとまったか、という感じである。2021/04/25
ちゅんさん
32
半分くらいまではつまらなかったが最後まで読むとなかなか良かった。さすがクリスティー。でもちょっと訳が読みづらかった。2025/11/13
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