内容説明
「助けて!今、羆に襲われて…」平凡な会社員・倉沢のもとに突然、地球環境学者である別れた妻・祥子からの着信が入る。助けを求める祥子の悲鳴。それを掻き消す轟音―羆の怒号。いまだ祥子に想いを残す倉沢は、悩んだすえ単身、北海道へと向かう。だがそれは想像を絶するほど執拗な、大羆との戦いの始まりだった。「狙いはあんただ。たおす以外に方法はねえ」逃れられない脅威を前に、真実の愛が試される。
著者等紹介
白土勉[シラドツトム]
1968年生まれ。東京都出身。シナリオ作家協会会員。2000年に脚本家デビュー。映画を中心に約40タイトル80本を執筆。2013年1月、動物パニック・ホラー『死の鳥』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
163
昨年、なんの因果か羆に関する作品を何冊か読み、すっかりハマってしまい、その流れでこちらの作品を読了です。角川ホラー文庫ですが、そんなにホラー感は控えめで、エンタメ感が強く、テンポ良く楽しめました。北海道は大雪山の旭岳付近を舞台に荒れ狂う羆と対峙する人々との'戦い'を描いています。登場人物が若干多いかなと印象を受けますが、主要なキャラは限られてくるのでわかりやすくまとめられています。いかなる武器を持ってしても、凶暴化した羆の前では、人はまったくもって'無能'となってしまう現実にただただ怖れるばかりです。2019/01/05
アッシュ姉
64
【読メ☆クマ会】クマ棚へ追加。インパクトのある表紙がお気に入り。中身はかなり残念。どうにもセリフが軽すぎる。助けてー!やめろーっ!うわっ!キャッ!聞いてないよ!ヤ、ヤバい!もうダメ~って、襲われている緊迫感ゼロ。まるでコント。あげく、クマ目線の語りがあって仰け反る。それいらないし。そこ絶対いらないし。2017/06/13
おかだ
60
楽しんだよ!舞台は北海道の大雪山。赤毛で頭頂部が金色という派手なカラーリングの人食い羆が大暴れ。元嫁からの「羆に襲われている」という一方的な電話を信じて北海道まで飛んでいく元旦那の行動力が凄い。行動力が無いとか情けないとか自分を卑下する描写が多々あるけど、そんなこと全然無いよ。何冊か羆本を読んできたけど、はじめて"羆視点"が出てきて爆笑した。羆目線の物語、斬新!人を襲う羆の気持ちってこんなんなんだなぁ。羆も慢性的な頭痛に悩まされたりするんだなぁ。しかも頭痛には原因まで用意されてた!なんか色々衝撃的だった。2018/05/27
Bugsy Malone
55
空気を読んで世渡りをしてきた会社員倉沢は「助けて」というヒグマに襲われた元妻からの突然の電話で大雪山に向かう。倉沢に雇われる元戦場カメラマン、老妻を殺され独自にヒグマを追う老マタギ、アフガン帰りの米兵、生物科学科の大学教授と登場する人物は多彩で、ヒグマ視点の描写も面白く、襲われる恐怖も充分感じられ飽きること無く読み進められた。故に物凄く惜しい。もう少し人物が奥深ければと欲をかいてしまう。でも中々に面白かったから余計にそう感じるのでしょうね。2016/06/25
hnzwd
44
久々の熊物。熊物の定番ですが、追いかけて街に来るあたりが一番の山場かなー。何かがいることを想像してしまう暗闇の恐怖を味わえました。もうお腹いっぱいです、って所までは行かなかったかな。2014/03/11