出版社内容情報
エラリー・クイーン[エラリークイーン]
著・文・その他
越前 敏弥[エチゼン トシヤ]
翻訳
佐藤 桂[サトウ ケイ]
翻訳
内容説明
ウェスト・ヴァージニアの田舎町、アロヨで不可解な“T”だらけの殺人事件が発生。死体はT字路にあるT字形の標識に磔にされ、その頭部は切り落とされていた。さらに被害者の家の扉には、血塗られた不気味なTの文字が―。エラリーは単身捜査をするが、真相は分からずじまい。だが半年後、再び奇怪な“T”にみちた殺人事件の知らせが届き…。サスペンスあふれる展開と緻密な推理で人気を誇る“国名シリーズ”第5弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
101
読んだのはこれで3回目。最初は中学の時で全く面白いと感じず、次は高校卒業後すぐでまぁまぁ面白かった。そして今回読み終えて一番満足度が高かった。過去2回はハヤカワ文庫だったので相性が良くなかったのかも。ヨードチンキの手がかりの処理の仕方はシンプルだけど効果絶大。事件の派手さは自分的にはチャイナオレンジに次ぐインパクト。クイーンの作品は事件自体がカーやクリスティと比較して地味な印象があるけれど、今作はそこもクリアしていて代表作なのも納得。傑作古典です。2016/04/20
ALATA
90
ウェスト・バージニアの小さな村アロヨのクリスマス。エジプト十字架、Τに模された姿で小学校長がはりつけにされる事件から連続する殺人。クイーンの国名シリーズ有名作、ボードゲームのチェッカーを巡る推理、ヨードチンキの考察など本格推理の醍醐味を満喫できました。お馴染みの“読者への挑戦”もミステリーファンには心をくすぐられる趣向で、独創的なプロットの名手のなせる業が見事でした。★4※クイーン警視との軽妙洒脱な会話とシチュエーションは浅見光彦シリーズに継承されているんですかねぇ・・・2025/06/22
NAO
80
この話は、最初から誤った方向へと導かれている。『エジプト十字架の秘密』という題そのものがくせものなのだ。いくつものミスリードの果てに、ようやく真実が見えてくる。 だが、犯人の目星がつき、殺害の動機がわかったと思っていると、ラストに大どんでん返しがある。ここまではちょっと予想できなかった。脱帽。2020/07/16
オーウェン
69
国名シリーズ第5弾はエジプト。いきなり始まるのは首切断の殺し。そして死体は十字架に磔にされたキリストの様。 これまでと違いエラリー警視はほとんど出てこない。 更には地味だった捜査一辺倒が変わり、場所が次から次へと変わる。死体の数も4つですべて首切断という形。 非常に論理的であるのも特徴で、本格ミステリの形態。 首の無い死体は別人という定番をしっかりとなぞっており、4つ目の死体が出ることで犯人の思惑が発覚する。 だから論理的に犯人当てが可能となる。 最後のオチを含めて、これまでの5作品の中でも一番好きかな。2024/07/16
森オサム
65
国名シリーズ5作目。「 ローマ帽子の秘密」が気に入らず悲劇四部作で高まった自分のクイーン熱が冷めてしまい、手に取るまでに10年掛かりました。きっかけは1998年のドラマ「眠れる森」を見始めた事で、主人公の中山美穂が少女時代に読んでいた本として取り上げられています。脚本は乱歩賞作家の野沢 尚とは言えマニアックですよねぇ(笑)。国名シリーズ全部読む事ももう無いだろう、と思ってましたし、高評価の本作を読む機会が出来て良かった。ドラマ視聴は途中ですが、最終回の視聴率は30%、楽しみ!。あ、本作は長かったです…ね。2024/10/14