内容説明
1941年6月、2000キロに及び戦線を突破してナチの精鋭420万がソ連領内になだれこんだ。独ソ不可侵条約を信じドイツの攻撃はないと考えていたスターリンは無防備な国土を戦場にせざるを得なかった。以後4年間、古都キエフ陥落、900日に及ぶレニングラードの包囲、モスクワ攻防戦、そして大反攻を経て45年5月のベルリン陥落に至るまで、泥と雪と血と砲火に彩られた凄惨な死闘が展開された。当時のモスクワ特派員で米国のソ連通ジャーナリストとして名高い著者が未公開の資料を基にこの知られざる戦いの全貌を初めて再現する。
目次
穏やかな日曜日
スターリンの大誤算
ブレストの敢闘
キエフの悲劇
ロシアのダンケルク
危殆に瀕したレニングラード
閉ざされた包囲の環
危機は深まる
モスクワ攻防戦
封鎖されたレニングラード
攻勢に転じた赤軍
スターリングラードに賭けたヒトラー
スターリンとチャーチル
スターリングラードの勝利
大戦最大の激闘
バービー・ヤール
ワルシャワの戦い
ベルリンへ
ベルリン最期の日々
ヒトラーの終焉
最後の行為
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gurapo
1
主にソ連視点でドイツに攻められ、そして反撃する姿が描写されるため、とても面白く読むことができた。主に一視点で描かれてるため「どのように戦線を立て直したか」を情緒と共に面白く読めたのもとてもよかった。本文も読みやすいしお勧めの一冊2011/10/15
hsg
0
大粛清に伴う優秀な将官の喪失が,開戦序盤の大敗北を招いたという定説はよく聞くが,本書を読む限り必ずしも優秀な人材が枯渇していた訳ではなく,スターリンが下した判断・推測の誤りにより,現場の将官に不当な制約が課され,軍事的な資産が効果的に運用されなかった,という側面が強いようである. また,戦中期~終戦にかけての,他の連合国との関わりも興味深い.戦後は冷戦状態となった米国からも,戦時中にはかなりの補給物資がソ連に送られ,数は少ないものの,米国の爆撃機がソ連領内の基地を利用する共同作戦もあったというのは意外.2016/07/04