内容説明
昭和12年、日本海軍は世界最大の大型戦艦建造を起工する。その一方、海軍軍縮条約をかいくぐるため、有事の際に商船を短期間で戦力化する商船改造空母構想も練られていた。しかし雷撃機も搭載できず、収容できる機数も少ないなど大きな制約が課せられていた。そうした中、艦上戦闘機を必要に応じて爆装し急降下爆撃機とする方法を考案。さらに航空魚雷までも搭載する改造まで開発された。こうして昭和16年12月、日本海軍は新たな戦力を手にした小型改造空母「雪鷹」を完成させ、マレー半島侵攻作戦を実行に移す。日本海軍の進撃に英海軍が立ち塞がるも、新生戦闘爆撃機が襲い掛かる!
著者等紹介
林譲治[ハヤシジョウジ]
1962年、北海道生まれ。ナイキミサイル基地訴訟で揺れ、千歳基地が隣接するという環境で育ったため、幼い頃より軍事や防衛問題に関心を抱く。戦略シミュレーションの原案などで活躍後、作家デビュー。確かな歴史観に裏打ちされた作品で人気を集める。宇宙作家クラブおよび日本SF作家クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ikedama99
7
息抜きの1冊といえばそう。タイトルにある戦爆は「戦闘爆撃機」のこと。戦闘機に爆撃機の役割もしてもらう・・ということだが、その前に逓信省型貨物船の話が合って、そこで基準をがっちり決めたからのこの戦爆の登場だと思う。勢い、普通の艦上戦闘機などとは立ち位置が違う。航続距離よりも打撃力に力を置いたというのも納得。また、軽量航空魚雷の扱いは、組織的なことで苦しくも笑える。相変わらず、爆弾の命中率などが高いなとは思うが、まずは話の展開上必要なのだろう。続きを待ちます。2022/01/31
zaku0087
0
著者最近の定番設定、おバカな山本長官と賢い井上中将シリーズ。開戦前に発生した艦船建造を合理化できたらと、爆装した戦闘機を開発できたらという二つのifが歴史をどう動かすかのプロローグ。商船改造軽空母が軍令部の無能さのおかげで結果的に対活躍することになるらしい。おバカな軍令部が指揮して戦争に勝てるはずはないと思って読んでいるが、史実ではしっかり負けているから、ifの世界でも簡単には勝てない設定だ。英米海軍もバカをやりっぱなしで、戦争はバカが少ない方が勝つと著者は言いたいのだ。戦爆の照準装置の解説が聞きたいが。2023/11/11