内容説明
純子が体験した“血の凍るような恐怖”。それが起こったのは、深夜のタクシー乗り場だった。残業後、ひとりタクシーを待っていると背後から…(「HEY!TAXI!」)、ヨセミテ国立公園の断崖から身を投げようと決意した城島は、意外なものに遭遇し…(「グレイシャー・ポイント・ホテル」)など、これまで書籍化されていなかった幻の12作を1冊に収録。奇妙な世界に迷い込んでしまった人々を描く、ファン必読の貴重な作品集。
著者等紹介
吉村達也[ヨシムラタツヤ]
1952年生まれ。ニッポン放送、扶桑社を経て90年より専業作家。ミステリーとホラーを作品の主軸として両立させた数少ない作家のひとり。2012年5月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
57
著者没後に編まれた単行本未収録作品集。主に超自然的恐怖を扱った作品と人間中心のミステリが収録されているのだが、流石にミステリ作家というべきか人間中心の物に読ませるものが多い。逆に超自然的な作品にはよくわからない物も。面白く思ったのは一通の年賀状とその返事がとんでもない騒動を予感させる「恋するジェラート」や婚約破棄の皮肉な背景を綴った「宇治川花散らしの霧」かな。サラリーマン家業を皮肉った「敵は本能寺にあり」や「着陸」は面白いけど、皮肉が先に立ちすぎて…。恐怖あり感動作ありと、バラエティに富んだ一冊でした。2024/05/31
じゅんぢ
32
あまり印象に残る話がなかった。吉村作品で短編ホラー読みたいならこっちよりも同じホラー文庫から出ている「踊る少女」を読んだ方がいい。2019/12/12
パフちゃん@かのん変更
22
以前吉村達也氏の本をたくさん読んでいたが、もう亡くなられたのですよね。残念です。久しぶりに読んだ短編集。幻想的な話だがそれほど怖い話ではない。2022/05/13
まゆまゆ
22
ずっと気になっていた吉村達也さんです。やっと手を出しました ´ω` )/ 短編なのでスイスイと読了。吉村さん初心者の私にはピッタリのボリュームでした。ホラーといえども、お化けが出てくるとかいうタイプではなく、「世にも奇妙な物語」的なホラー。でも、ゾッとするのには変わりはありません^^; ですが中にはホロッとくるものも少々。「大原 不断桜の誓い」 「グレイシャー・ポイント・ホテル」 「レイク・クレセントの風」あたりがいい話系。「晩秋のクラヴィア」が個人的に大ヒットです。2016/06/26
mizuha
17
掲載された雑誌の性質もあるのだろうが、思いの外、穏やかな短編が並ぶ。中には、人の心の不条理がもたらす恐怖を味わえる物もあるけれど、いずれにしても、イベントのお題「怪談・ホラー」とは異質の恐怖でした。でも、そこは吉村達也さん、とても面白かったし、後書きを読むと更に感慨深い。限りある未読の作品は、勿体無いので小出しに読みます。2015/08/11