出版社内容情報
早まっちゃいけねぇ。生きてリゃ何とでもなる――。人情厚い鼠小僧が動く!
縁日で行きずりの男の子に「おっかさんだよ!」と取りすがって泣き叫ぶ女。錯乱した女か――と誰もが素通りする中、次郎吉の妹・小袖は女の命を狙う浪人を見逃さなかった。女の素性は一体? 「鼠」シリーズ第5弾!
内容説明
次郎吉の目前で娘が腕を斬られた。娘は峰といい、奉公先の主人と通じ、その妻の恨みをかって襲われたのだった。峰の父は、娘の不貞に激怒するが、浪人暮らしの父を思い手当てをもらっていたことを知り、言葉を失う。そして、一度は断った「ある仕事」を引き受ける決意をした。それは、武士としてのプライドを捨てるものだったが…。
著者等紹介
赤川次郎[アカガワジロウ]
1948年、福岡県生まれ。76年、「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。作品が映画化されるなど、続々とベストセラーを刊行。2006年、第9回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kagetrasama-aoi(葵・橘)
36
「鼠シリーズ」第五巻。「鼠、剣を磨く」赤川先生版の鼠小僧大名屋敷に盗みに入りますが、庶民に小判を配った描写はありませんよねぇ。人助けは大好きみたいですが。「大水に走る」は当時の洪水や治水の様子が描かれていてます。堤防についての描写が興味深いです。このシリーズ、永代橋の崩落事故や、大雨による洪水、そして被災した人々の暮らし、読んでいて辛い描写もありますが、逞しく生きる庶民の姿に救われます。虚構の世界ではありますが、力を貰えるお話でした。2024/03/15
shiozy
28
同じ福岡県、同世代の赤川次郎を読むのは何十年ぶりかである。その昔、デビューして間がない頃、何かの作品を読んだ。その軽妙な文体に驚いた。こんなお気楽な文体っていったいどうしたら書けるのだ。同県人、同世代人として、「負けた」思いがして、以来読まなくなったのだ。赤川にしては珍しい時代小説「鼠」シリーズ。3冊を二日で読めてしまうお気楽さが心地いい。本格時代小説ファンからみれば、物足らないかもしれないが。2016/05/24
まるる
25
次郎吉はクールでポーカーフェイスなイメージだったのに、巻を重ねるごとに人間味が増して来た様な気がします。お国や千草の存在がそうさせるんですね。早く次の巻が読みたい!2013/12/11
うずら
18
鼠シリーズ第5段。千種先生との距離が、少しずつ近づいてきているようです。相変わらず軽快なテンポで、さらりと事件が解決していきます。それがいい所なのかもしれませんが、物語の余韻が無く、私には物足りなく感じます。赤川さんの物語って、こんなでしたっけ?2014/02/10
σ(-。-)
18
一気に一巻から読んだけど、筆に時間差を感じさせないのは、さすがだなぁ。面白かった。2013/01/19