出版社内容情報
森見 登美彦[モリミ トミヒコ]
著・文・その他
内容説明
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした―。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。
著者等紹介
森見登美彦[モリミトミヒコ]
1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。10年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1265
ファンタジーとも違い、かといってリアリズム小説でもない。ペンギンやお姉さんをはじめとした諸々の事柄は、「ぼく」の思惟や感情を寓意的に表象したメタファーなのだろう。たしかに「ぼく」は小学4年生にしては無理があることは否めない。しかし、作者にとっては、10歳の今でなければならなかったのだろう。その一夏で「ぼく」が失ったものは余りにも多い。物語の最後は涙を誘われる。それは、これが私たち自身の喪失の物語でもあるからだ。「ぼく」は、このイニシエーションを経て、新たな地平に旅立つ。たくさんのものを後に残しながらだ。2017/03/15
ミカママ
621
ちくしょぉぉぉ、泣かされた。SFもファンタジーも苦手なのに。(ミカママ的)恋愛小説部門、今んとこ今年ベスト❗️2018/11/26
そる
459
めっちゃSFでファンタジーでした。でもSFなのに科学で謎が解明されない。謎が新たな謎を生んでるという感じ。情景の描写とかステキだし、小学生たち楽しい仲間たちだけれどややのんびりおだやかすぎて刺激が足りない。後半は結構展開したけれど。ホントに不思議なかわいい話。映画も?マークが出そうですが(笑)見てみます。「他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ」「ハマモトさんはまるで大人みたいに鼻を鳴らした。「仲良くしなくてもいいよ。誰とでも仲良くするなんて、不可能だもん」」2019/09/03
チェシャ猫
452
相変わらず この人の文章は馴染むのに時間が掛かる。けど 最後は熱中してしまうのが不思議だ。初めはほのぼの系かと思ったら ラストは物悲しい最後で・・・。淡い初恋とSFと小さい頃への郷愁とあこがれを混ぜたような作品でした。2014/07/08
ウッディ
432
好奇心旺盛で研究に余念がない小学4年生のアオヤマ君、街に突然現れたペンギンに、歯科医院のお姉さんと「海」と呼ばれる謎の物体が関係していることを発見する。ウチダ君、ハマモトさんと協力しながら、研究を進める彼らの成長物語。好きな女子に意地悪し、弱い者いじめをするスズキ君に対し、なぜそんな不合理な行動を取るのかと疑問をもち、怒りそうになっても「おっぱい」の事を考え、決して怒らないアオヤマ君、彼の言葉や行動には、大人になって忘れていた真実があるような気がする。小学生時代のワクワクする毎日を懐かしく思い出しました。2023/01/07