出版社内容情報
超ロングセラー『長い腕』に、待望の続編が書き下ろしで登場!
明治の名棟梁、敬次郎を生んだ四国の早瀬町に、汐路は帰ってきた。恐るべき事件から数ヶ月後、故郷で待っていたのは元軍人の老人。幕末に流行った童謡『かごめ唄』があちこちで流れ始め、次の事件が・・・!
内容説明
汐路のいとこ兄妹が命を落としてから数ヶ月、町を呪った近江敬次郎の復讐はまだ終わっていない―。そう考え、町にとどまった汐路は、一人の老人に引き合わされる。戦時中、近くに駐屯していたという元軍人で、終戦直後に姿を消した部下の行方を捜している、という。幕末に流行した「かごめ唄」が平成の世にまたはやり始め、童謡に乗せて、新たな罠が動き出す。横溝賞受賞作『長い腕』に、待望の続編が書き下ろしで登場。
著者等紹介
川崎草志[カワサキソウシ]
1961年愛媛県生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。セガ・エンタープライゼス、バーチャルゲームセンターなど、ゲーム制作会社に勤務し、『長い腕』で第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
82
読了後、背筋がゾクゾクッとした前作【長い腕】読友さんに教えて貰うまで、続編が出ていた事を知りませんでした。「かごめ唄」をキーワードに交互に繰り返される主人公・汐路とあの勝海舟の視点パート。その畳みかけるような文章にラストまでドキドキして読みました。何の脈絡もないような6つの断章のプロローグも読了して戻るとよくわかります。前作で一番怖い人だった石丸はおとなしめな登場でしたが、次の第3巻では強烈な存在感を発揮してくれるんでしょうね。ちょっと怖いけど楽しみです。2013/05/12
takaC
80
江戸の勝麟太郎編が絶妙なスパイスになっているのは分かったが、本筋がちょっとしょぼくないか?頭を使わないとついていけない話な割に、得られるものが見合ってないような…。わざわざ「第二部」と区切られていた狙いも自分には不明なまま終了。2012/10/28
タックン
74
長い腕の続編。題名の割りには前回よりホラー色が少なくて普通のミステリーになってた。かごめ唄をモチーフにして現代と江戸時代を舞台にした伏線が延々と続いてなかなか読み進められなかったな。っで最後に前回と同じコンビが事件をあっと言う間に解決しちゃった。っでヒロイン・汐路の役目は何だったのだろう?犯人はわからなかったけど犯人像が講の中にいるのはバレバレだった。閉鎖社会怖し・・・横溝正史ミステリーみたい。かごめ唄からこれだけのミステリーを書いた作者の力量は凄い。次もありそうだな?2014/01/03
yu
71
「長い腕」の続編。 近江敬次郎の呪いはまだ続いていると考える汐路は、それを探そうと早瀬にとどまる。幕末の勝海舟(ストーリーでは勝麟太郎として登場)は、流行している「かごめ唄」に言い知れぬ不安を覚える。 2つの時代のストーリーが交差しながら全体の物語が進行する。 本屋さんでは「長い腕」とセットで平積みされていた。 徳川家の隠し財産に惑わされ、人々は次第に理性を無くしていく。これも敬次郎の企みどおりなのだろうか。トリックとしては単純なのかもしれないが、この罠は怖い。一体何人が犠牲になっているやら・・・。2012/11/25
dr2006
64
長い腕の続編の本作は、なんと作者の都合で渾身11年後に刊行されている。自分は連続して読んだが、インターバルを感じさせない巧みな構成だ。冒頭で一見バラバラな6つの時の話がばら蒔かれるが、特に江戸末期勝海舟の話と現代(現在)主人公汐路の話を中心に相互に展開し、徐々に核心に迫る因果が明らかになっていく。その時制の仕掛けによってミステリーに奥行と訴求力が出ていると思った。本作は「かごめの唄」に纏わる呪いのミステリー。第一弾からの登場人物の謎も深まり気になるので、続けて刊行済最終巻「弔い花」を読みたい。面白かった!2018/08/08