出版社内容情報
黒木 亮[クロキ リョウ]
著・文・その他
内容説明
名うてのリストラ屋・蛭田明は、米系投資ファンドによって極東スポーツの社長として送り込まれ、苛酷な大リストラを敢行。社員の首を次々と切る一方、短期間で株価をつり上げて私腹を肥やす。そのカラクリを見抜いたカラ売り屋「パンゲア」の北川靖が、ニューヨーク・ハーレムの子どもたちのあと押しを受け、全面対決を挑む。現代の資本市場を舞台に、強欲に踊る人々の栄華と末路を描いた問題作。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンスなど数多くの案件を手がける。2000年『トップ・レフト』で作家デビュー。中学時代から長距離ランナーとして活躍し、早稲田大学時代に箱根駅伝に2回出場、20kmで道路北海道記録を塗りかえた。英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつうら
54
こんなことを書くと著者に申し訳ないが、ストーリーにものすごく起伏があって、黒木亮作品らしくないのがとてもいい。カラ売り屋の北川と、コストカッター蛭田の対決を描く物語だが、ヒルタというネーミングからして、悪役っぽさ全開なのもまたいい。早くから蛭田と極東スポーツの不正な会計処理を見抜き、カラ売りを仕掛ける北川だが、蛭田も悪役らしくやるもので、投資銀行をバックになかなか尻尾をつかませない。ターニングポイントになったのは、丸野証券の鮎川。「人間はウソをつくが、バランスシートは正直だ」というセリフがとても印象的。2023/05/26
速読おやじ
12
バイアウトファンドの投資先に送り込んだ所謂プロ経営者---この蛭田って奴がかなり最低で大概あり得ないアホなコストカットをするので前提がアホなのだが---と、空売りファンドとの闘いである。通常は空売りファンドの方が悪というのが定説なところを逆にしてしまう発想は面白かった。正義は勝つ!というハリウッド的な結末なのですが、もうちょい深み欲しかったかなあ。黒木さんも、サラッと書いたのかもしれませんねσ(^_^;)2016/12/23
幹事検定1級
8
黒木さんの金融・企業買収モノです。 スピード感あって大変読みやすい作品です。ややもすると敬遠ちがちな用語が出てきますが、全く気にならない素晴らしい作り。 同じジャンルでは真山仁さんもいらっしゃいますが、個人的には甲乙つけがたい、つけてはいけないジャンルの方々と思っております。 買いだめしてある黒木さんの作品、順番に読んでいきます。 まだまだ楽しめそうな作品が山積みです。2014/05/13
Micky
4
極東スポーツの財務体質悪すぎ、経営施作も酷すぎ。デューデリジェンスする以前の問題。黒木さんの小説としては軽く感じました。本も他の著作に比べれば薄いものなので、軽く流した感じがします。コストカット、もっと踏み込めば緊迫したストーリーになったであろうと思う。2016/03/25
slowlifer
4
再生請負人とカラ売り屋との攻防。黒木亮4冊目。解説のように「誰のための企業再生?何のためのカラ売り?」という目的次第で、劇薬にも良薬にもなる感じ。つくづく資本主義って、モラルや道徳がないと必ず暴走するのでは。株主至上主義って日本の風土にはそぐわない感じ。<印象に残ったフレーズ>「罪が存在しないと宗教がなりたたないように、株価が下がる企業がないと市場は成り立たない。」「・・・従業員、地元から利益を搾り上げ、それを株主に移転しているだけで、何ら付加価値も創造しない・・・。」2013/10/09