出版社内容情報
夏目 漱石[ナツメ ソウセキ]
著・文・その他
内容説明
「自分は寂しい人間だ」「恋は罪悪だ」。断片的な言葉の羅列にとまどいながらも、奇妙な友情で結ばれている「先生」と私。ある日、先生から私に遺書が届いた。「あなただけに私の過去を書きたいのです…。」遺書で初めて明かされる先生の過去とは?エゴイズムと罪の意識の狭間で苦しむ先生の姿が克明に描かれた、時代をこえて読み継がれる夏目漱石の最高傑作。解説、年譜のほか、本書の内容がすぐにわかる「あらすじ」つき。
著者等紹介
夏目漱石[ナツメソウセキ]
本名、夏目金之助。1867年、現在の新宿区喜久井町に生まれ、1893年、東大英文科卒業。大学院へ進むとともに教職に就く。三十三歳の年にイギリスへ国費留学。帰国して後、朝日新聞社に入社してからは、本格的に文筆生活に入り、『三四郎』『こゝろ』『行人』など、不朽の名作を残した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
213
こころの中を明かすことはなかなかない。 場合によっては墓場まで持って行くという言い方をする人もいる。 何をどんな風にこころの中に閉じ込めているか。 小説で解き明かすことによって覗き見る。 誰の心の中をみているのだろう。2013/05/01
スエ
117
仕事はみっちり、休日は本も読まずにアチコチ出かけてしまう放蕩女スエ。なかなかレビュー出来なくて困ったもんだ。お〜!見つけましたよ。素晴らしい本をッ!!不朽の名作にして、冒頭にご丁寧なあらすじ付きッ❢そこで、このあらすじ2Pを読んだのみでレビューに踏み切るという力技に出たスエです。何なに?尊敬する先生が繊細さんで自殺。理由は親友を裏切って自殺に追い込んだ過去。「殉死」に引きずられた一生なんて楽しくないな〜。死んだつもりで生きて行こうと決心するなんて、誰も喜ばないし。一度きりの人生なんだから、楽しく行こうよ❢2023/04/19
海月
92
初めて自分の行動で夏目漱石を手にしました。 話はありきたりな恋と友情の物語のような気もしますが明治時代としてはこの作品が異色なんですかね? やっぱり初めての名作であるせいか初めのうちは不思議な文字列に四苦八苦しましたが後半になるにつれてそれもそれほど気にならなくなり読めるようにはなりました…が実際先生と遺書が作品のほぼ全てを語ってる印象ですね(笑) また機会があればチャレンジしたいです!2022/01/04
セウテス
90
学生の頃から、何度となく読んできた作品。読む度に年齢やその時の立ち位置により、心に響く言葉や印象が変わる作品は多々あるのだが、本作は何故か変わらない。最初は、先生のお墓に行く理由や妻に隠している事は何かしらと、まるでミステリーの様な展開に引き込まれて読んだ事を、思い出し懐かしく感じた。やはり明治という一つの時代の終りに、この時代のこころの有り様を描いているのだと感じる。だが百歳近くになって寝たきり、子供も他界した世界に、それでも死ねない人がいる現代を見て、彼らは作者漱石は何と思うだろうか、知りたくなった。2016/07/04
旅するランナー
87
東大正門前に喫茶店「こゝろ」があります。老夫婦が営む、静かでしっとりしたイイお店です。ここで、コーヒーを飲んでいて、ふと「こゝろ」って読んでたかな?と思い、この本を手に取りました。私と先生との出会い、そして先生が綴る過去の秘密。愛に伴う、嫉妬、疑惑、煩悶、懊悩…人の心の中を描き出す、夏目先生の筆力に、僕のハートも動き始めます。上質なサスペンス小説でもあります。2018/12/18