出版社内容情報
列島各地で覇権が争われていた戦国時代。隣接する駿河今川・甲斐武田・相模北条の大名家は、3国間で和平協定を締結。互いの嫡男の正室に相手の娘を迎えて同盟の証とした。自国の領土拡大を目指し、後顧の憂いを無くすという利害の一致により、東海・中部・関東に広がる巨大政治勢力が出現したのである。しかし「親子兄弟同然」の18年に及んだ攻守軍事同盟は、終焉へと向かった――
内容説明
東国戦国史上、最大の分岐点となった攻守軍事同盟。世界でも希有な三国同盟の、成立から崩壊までの全軌跡を、日本中世史研究の第一人者にして大河ドラマの時代考証者が、最新研究の成果をもとに徹底検証。
目次
第1章 今川・武田同盟の成立
第2章 河東一乱の決着と三大名家の和睦
第3章 三大名家の同盟が誕生
第4章 始動した三国同盟
第5章 足利義輝の甲越和睦命令
第6章 三大名家共闘の実現
第7章 三大名家相互の軍事協力
第8章 三大名家による二度目の共闘
第9章 北条家と信玄が関東で優位を確立
第10章 今川家・武田家の関係の変化
第11章 駿甲相三国同盟の崩壊
著者等紹介
黒田基樹[クロダモトキ]
1965年東京都生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。博士(日本史学)。専門は日本中世史。駿河台大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
124
外交において永遠の友好はなく永遠の国益あるのみ。激動の戦国時代に今川・武田・北条3大名の同盟が18年も続いたのは、3家とも同盟維持こそ国益にかなうと納得していた証だ。背後を安定させられた今川は西へ、武田は北へ、北条は東へ勢力を伸ばせた。何重にも婚姻を結び、和平仲介や軍事協力で実利を獲得する状況がよくわかる。しかし義元の戦死と遠州忩劇で弱体化した今川が婚姻関係の切れた武田と対立し、そこに上杉が外交攻勢をかけて両家を引き裂いたのを契機に崩壊してしまう。戦国では外交も重要な覇権争いのファクターだったと痛感する。2024/12/17
MUNEKAZ
20
同年代の当主と嫡男、適齢期の娘が三者で揃うという言われてみれば、結構な偶然がヒットして結ばれた三国同盟。足掛け18年に渡って存続したのだが、その利益は平等に得られたわけでは無いのかなと。武田・北条にとっては対上杉の軍事同盟として有効に機能し、今川はただただババを引いた感じ。同盟に基づく関東への出兵が無ければ、氏真ももうちょっと対徳川戦を有利に運べたかもしれない。また謙信もそうした不和を突くように、今川へ内通を持ち掛けてついに三国同盟を崩壊させている。同盟の最も弱い輪を突くという、謙信の戦略眼にも恐れ入る。2024/11/21
鮫島英一
19
北条関連の書籍はそれなりに読んでいるので三国同盟による共同軍事行動は理解していたが、物流や経済までにまで協力が及んでいたのは知らなかった。ある種の経済同盟でもあったのだろう。その規模は200万石を超えるだろうから、当時最大規模の勢力だったかもしれない。その視点で見ると長尾景虎がより大きな権威による傘で対抗しようとしたのは納得だ。以前は虚名にこだわった骨董品的人物と考えていたが、認識を改める必要がある。三国同盟は結局崩壊した敗者の同盟だが、勝者と敗者の差はほんのわずかだったのもしれない。 2024/12/17
春風
14
駿甲相三国同盟とは、駿河・今川家、甲斐・武田家、相模・北条家で結ばれた戦国期には類例を見ない三国間の攻守同盟。本書はまた、三大名の版図の関係から関東戦国史を概観するものとしても読める。駿甲相三国同盟により、どの程度の協働があったかというのは殆ど知らない状態で読み始めたが、本書によると実際に援軍の派兵が見られたり、停戦和睦の中人として間に入るなど、同盟として高度に機能していたようだ。強固であったが故にか、直接的な外圧でなく猜疑心により内側から崩壊していったその経過は、戦国大名家の盛衰と共鳴するものを感じた。2024/11/27
鮭
13
戦国時代に有名な今川家・武田家・北条家による三国同盟を主題とした一冊。三国同盟ではあるが、長尾景虎が現れてからは北条家・武田家の二国同盟の感が強くなったのではないかと感じる。実際に長尾家と戦わない今川家は自分の戦の際は援軍も派遣されず蚊帳の外だったのだから…。それ故に同盟の崩壊の端緒が今川家・上杉家(長尾家)の秘密盟約に起因するのも納得である。本作は大名個人の能力には敢えて触れず書かれている為実際は分からないが、結局三国同盟の後半は梟雄の信玄・氏康に若輩の氏真がいいように扱われてたのではないのだろうか。2025/04/02
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