出版社内容情報
白井 聡[シライ サトシ]
著・文・その他
目次
序章 すべての道は統治崩壊に通ず―私たちはどこに立っているのか?
第1章 二〇一二年体制とは何か?―腐敗はかくして加速した
第2章 二〇一二年体制の経済政策―アベノミクスからアベノリベラリズムへ
第3章 二〇一二年体制の外交・安全保障1―戦後史から位置づける
第4章 二〇一二年体制の外交・安全保障2―「冷戦秩序」幻想は崩壊した
第5章 二〇一二年体制と市民社会―命令拒絶は倫理的行為である
著者等紹介
白井聡[シライサトシ]
思想史家、政治学者、京都精華大学教員。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。3.11を基点に日本現代史を論じた『永続敗戦論―戦後日本の核心』(太田出版、のち講談社+α文庫)により、2013年に第4回いける本大賞、14年に第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
128
長期腐敗体制とは2012年に始まる安倍・菅政権。白井先生は「安倍晋三は嘘つき、卑劣、卑怯、無責任で、彼が築いた2012年体制は愚の骨頂」と徹底的にこき下ろす。アベノミクスの三本の矢は、金融政策はリフレ派、財政政策はケインズ派、成長戦略はネオリベ派で、経済学の「ごった煮」と一刀両断。外交は、東アジアの冷戦構造に依拠して国体の護持を金科玉条にしているだけだと。各種の忖度が横行する中、安倍政権に対し一貫した主張を続ける白井先生は立派だと思う。元首相の悲劇的な最期への哀悼と、政権の歴史的評価は、峻別しておきたい。2022/09/05
とよぽん
54
白井 聡さんの鋭い分析と批判、そして怒りが後半にいくにつれて激しく語られていた。2012年体制とはなるほど! 民主主義は内部から根底から腐敗し、心ない利権指向の政治家が衆愚を都合よくあしらって、さらに腐敗を広げて行く。国民をこんなにも苦しめ追い込んできた政権与党が、なぜまた選挙で勝つのか、そのわけもわかった。対米従属の日本が今後の世界情勢にどう立ち回っていくのか、そして国内では腐敗と無能を返上して弱者救済を進めることができるのか、有権者の責任を互いに問いながら、私たちは声を上げていこう。2022/11/27
ネギっ子gen
46
【この体制の統治パフォーマンスは決して褒められたものではないのに、なぜ退場させられないのだろうか】2012年に成立し現在まで続いている「体制」について論じることを通して、そうなった要因を洗い出し、シニシズムを打ち破る術を模索する書。 2022年刊。戦後日本社会全般の<行き詰まりと劣化は、戦前以来の体制が敗戦後の民主化を経ても生き残ってしまったという歴史的事情に根差す一方で、アメリカの相対的衰退、中国の台頭、グローバルな経済構造の変化、国民国家システムの機能不全といった、新しい状況にも根差しています>と。⇒2025/02/19
Isamash
39
思想史家・政治学者の白井聡(1977年生まれ、京都精華大学教員)2022年発行著作。安倍・菅政権を2012年体制と称して不正・無能・腐敗、更にアベノミクスの根本的問題点を論じている。官僚組織内部から多くの体制批判者も現れており安倍氏個人の問題というより、日銀や司法・官僚機構も含めて政治主導の不在のため、統治システム全体の崩壊が起きていると。今起きていることを考えると非常に説得力が有る。確かに日銀の安倍政権への屈服・妥協・デフレ脱却の旗振りは本当に罪が深い。ようやく安倍政治の冷静な検証がなされる様になった。2024/02/19
ミライ
37
2012年~2022年初頭くらいまで(一部自民党55年体制の話もあり)の、10年間の日本の政治について分析された一冊(帯の「なぜいつも頭(トップ)から腐るのか」のインパクト大)。本書では、2012年に自民党が大勝してからこれまで続く政治体制(安倍晋三総理→菅義偉総理→岸田文雄総理)を「2012年体制」と表現して、2012体制が行ったアベノミクスや安全保障問題、コロナ対策などが著者の解釈で分析される。ここ10年くらいの日本の政治の本質を知りたい人にオススメ。2022/06/29
-
- 和書
- 財政学 (改訂第2版)