出版社内容情報
池田 清彦[イケダ キヨヒコ]
著・文・その他
内容説明
人生100年時代の罠、金の多寡と教育成果は比例しない、近い将来エリート層は国外へ逃亡する―「日本すごい」と馬鹿の一つ覚えみたいに騒ぐけど、本当に「すごい」のは日本の凋落速度だ!人気の生物学者が、独自のマイノリティ視点で世間にはびこるウソと無駄を見抜く。
目次
1 生と死の意味について(「物事にすべて意味がある」は妄想だ;老化に進化論的な意味はない ほか)
2 AIと私たち(AIの未来;AIは人間を超えるか ほか)
3 市場原理と成果主義(教育に市場原理を持ち込む愚行;何事もほどほどに ほか)
4 動植物散策(多摩動物公園に行ってみた;ネキを採りに沖縄に行く ほか)
5 短絡的正義がもたらすもの(遅きに失した国際捕鯨委員会脱退;未来展望なき虚勢による日本の衰退 ほか)
著者等紹介
池田清彦[イケダキヨヒコ]
1947年、東京生まれ。生物学者。早稲田大学名誉教授。構造主義生物学の立場から科学論・社会評論等の執筆も行う。カミキリムシの収集家としても知られる。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
100
池田さんの本をいくつか読んでいたのですが今まではご専門の分野の生物関連の本がほとんどでした。このような分野の評論をいくつか出されていたとはじめて知りました。私と同じ年代のせいか考え方がぴったりあって読んでいて何度かうなずくようなポイントがありました。ただ深く掘り下げてはいないような感じもしました。やはりご専門の動植物散策の部分がよかった気がします。2020/02/05
yomineko@猫と共に生きる
44
中々に難しい内容だった。2021/02/19
テツ
23
こんなに日本人の平均寿命が延びて、更に出生率が下がり続けるとは誰も考えなかった時代にこさえられた社会のシステムは遅かれ早かれ破綻することなど少し考えれば誰にでも理解できるだろうに、未だに長寿の方の記事などはまるで慶事の如く扱われる。ありとあらゆる意味で(少なくともぼく自身はそうなったら喜べない)身体や精神にガタがきてまでいつまでも生きているという状態は喜ばしいことではないだろうに、それを口に出してはいけない。世の中はそうした優しい欺瞞で満ち満ちている。広く自分の目で見つめて自分の頭で考えたいものです。2022/08/20
Sakie
21
メルマガの加筆編集本。「本当のことを言ってはいけない」と題したのは編者であろう、著者は言いたい放題、快調そのものである。「国民の知的レベルの二極化」の章が興味深い。日本語で書かれる学術系書籍が減っているのに伴い、一般人の自然科学や人文科学へのリテラシーが低下し、一方で学者の異分野への理解も低下したと指摘するものだ。これは、学者が一般向けに書いた書籍で視野の狭さを感じるものが時々あるので肯ける。結果的に知的中間層が衰退する。この深刻さは上記のみならず、現在の日本学術会議問題にもつながる点、全く些事ではない。2020/11/05
Tomomi Yazaki
18
物事には全て意味があるというのは幻想。その意味を考えると、誰しもがそれに振り回される。本書には、スポンサーの顔色を見てマスコミが流さない情報が盛り沢山。例えば、現在どんどん設置されているメガソーラー。山林を伐採し、自然エネルギーと称しているけど、本末転倒。例えば原発。不測の事態に今も備えていない現実。例えば、クールジャパン。自画自賛の極みで、実は凋落の一途を辿っている日本。全てに賛同はしないけれど、これからも池田さんを追っかけてみたい。2021/10/28