出版社内容情報
右傾化が進む自民党。戦後を支えた中道保守は崩壊したのか
自民党の幅広い裾野である分厚い中道保守が揺らぎ、自民党の右傾化が加速している。中道保守を土台とする「戦後保守」の時代は終わったのか。元首相をはじめ、政治家・官僚の証言を交えながら、徹底検証する。
序章 戦後政治の「中道保守」
第一章 「戦後保守」の軌跡
第二章 衰退する「中道保守」――派閥政治の変容と終焉
第三章 経済財政政策――高度成長から負の分配へ
第四章 「村山コンセンサス」の形成と課題
第五章 メディア環境・世論と政治の座標軸
第六章 「中道保守」と外交安全保障
第七章 少子化・女性・家族と「戦後保守」の限界
総括 「中道保守」は再生できるか
内容説明
自民党の幅広い裾野である分厚い中道保守が痩せ細り、日本政治のバランスが揺らぎはじめている。中道保守を土台とする「戦後保守」の時代は終わったのか。元首相をはじめ、政治家・官僚の証言を交えながら徹底検証する。
目次
序章 戦後政治の「中道保守」
第1章 「戦後保守」の軌跡
第2章 衰退する「中道保守」―派閥政治の変容と終焉
第3章 経済財政政策―高度成長から負の分配へ
第4章 「村山コンセンサス」の形成と課題
第5章 メディア環境・世論と政治の座標軸
第6章 「中道保守」と外交安全保障
第7章 少子化・女性・家族と「戦後保守」の限界
総括 「中道保守」は再生できるか
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ア
7
戦後の日本において、宏池会や経世会(平成研)が担ってきたような立場を「中道保守」と位置付け、なぜそれが2015年時点で衰退した(ように見える)のかを論じる。村山富市は自民党内の中道保守の支持を得て村山談話を示したとか、橋本龍太郎も冷戦後の世界において中道保守的な外交政策を行ったとか、あまり考えたことのない視点でおもしろかった。2024/03/19
ヒナコ
7
「日本再建イニシアティブ」という共同研究団体による、戦後の自民党の主流派についての論文集。戦後日本に大きな影響力を行使してきた、池田勇人率いる宏池会と田中角栄に統率された経世会に焦点を当て、経済政策・外交政策・歴史認識・ジェンダー平等政策など個別の影響力と、その分野における興隆と没落が分析されている。 印象に残ったのは、第三章の内田融による「経済財政政策」と、第五章の逢坂巌による「メディア環境・世論と政治の座標軸」と、第七章の杉之原真子による「少子化・女性・家族と「戦後保守」の限界」の、三つの章だった。→2022/04/04
ワッキー提督
3
この数十年の日本政治の問題点を、タイトルが示す観点に則って分析した一冊。その分析は鋭い。しかし一方で、それを読み終えると、そもそも「中道保守」が必要なのかという疑問に行き着く。特に第7章の視点を考えると、「中道保守」が本書の提示する問題点を解決しうる下について疑問が残る。むしろ総括で出て来た「中道リベラル」ではダメなのか、その点について回答のない一冊だったと感じた。2016/08/07
spanasu
2
自民党が宏池会、経世会によって担われた中道保守=「戦後保守」から清和会中心の「真正保守」に取って代わられていく姿を様々な面から示し、「昔はよかった…」といった本。中道保守の復活は、都市の新自由主義勢力は保たれる一方で、旧民主党系が中道保守としても左派としても復権できない今、自民党の拡大分裂しか考えにくいシナリオになりつつはある。とはいえポスト安倍を争う岸田も石破もおそらく中道保守であり、自民党自体の変容もありえる気もする。2020/06/21
樋口佳之
2
書かれている時代を実際に生きていない方が読むと、三丁目の夕日状態になってしまうのでは/沖縄にせよ原発にせよ、戦後保守が繋いできたレールが行き止まりになっているのが現在なのでは/2015/12/31